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みなさん、こんにちは、こんばんは、宮本真愿です。
「五つ星文章術」
前回は「人は『説明』では動かない。『物語』で動く」というテーマで、神話学の「ヒーローズ・ジャーニー」、英雄の旅についてお話ししました。
人間は、単に情報を理解するだけではなく、物語の中に自分を重ね、主人公の葛藤や変化を追体験することで、心を動かされることがある。
そして、セールス文章では、自分ではなく読者を主人公にすることが大切だというお話でした。
さて、今日は、ここまでお話ししてきた五つ星文章術の5つの学問、その最後の一つに進みたいと思います。
それが「個性学」です。
今回のテーマは「刺さる言葉」が、人によって違う理由。
サブテーマは「あなたの正解が、相手の正解とは限らない」です。
実はこれ、文章術だけではなく、人間関係やビジネス、さらには日常のコミュニケーションにも深く関係する話なんです。
同じ言葉なのに、なぜ反応が違うのか?
突然ですが、みなさん。
こんな経験はありませんか?
誰かに「とりあえず、やってみようよ!」と言われたとします。
ある人は「そうだね! まずはやってみよう!」と、ワクワクする。
でも別の人は「いやいや、ちょっと待って。ちゃんと準備してからにしようよ」と思う。
また別の人は「それって、本当にやる意味があるの?」と考える。
同じ言葉なのに、受け取り方が違うんですね。
もう一つ…
「あなたなら絶対できます!」と言われたとします。
ある人は、勇気をもらう。
でも別の人は「いや、そんな無責任なこと言わんといて……」と感じるかもしれません(笑)
面白いですよね。
言葉そのものは同じです。
でも、相手によって反応がまったく違う。
つまり「いい言葉」というのは、相手によって変わることがある、ということなんです。
自分に響いた言葉が、相手にも響くとは限らない
僕たちは、文章を書くとき、無意識に自分を基準にしてしまいます。
- 自分が好きな言葉
- 自分が感動した表現
- 自分が行動したくなるメッセージ
それを、そのまま相手にも使おうとするんですね。
たとえば、僕自身は、比較的…
「まずやってみる」
「失敗しても、そこから学べばいい」
という考え方が好きです。
だから「完璧じゃなくてもいいから、まず一歩踏み出そう!」という言葉に共感します。
でも、慎重な人にとっては、どうでしょう。
「まず一歩踏み出そう」と言われても、
「いや、その一歩が怖いんですけど……」となるかもしれません。
そんな人には…
「最初は小さく試してみましょう」
「失敗しても大きな損失にならない方法から始めましょう」
という言葉のほうが、安心してもらえる場合があります。
どちらが正しいという話ではありません。
人によって、行動するために必要な言葉が違う、ということなんです。
個性学とは、相手を理解するための一つの視点
五つ星文章術では、脳科学、広告心理学、行動経済学、神話学、そして個性学という5つの学問を取り入れています。
ここでいう個性学は、人それぞれの価値観や判断基準、行動の傾向などに目を向けるための考え方です。
ただし、一つ注意しておきたいことがあります。
人間を、いくつかのタイプに分ければ、すべて理解できるわけではありません。
「この人はこのタイプだから、必ずこう考える」という決めつけは、むしろ危険です。
人間は、そんなに単純ではありません。
- 育った環境も違います
- 経験も違います
- 置かれている状況も違います
- 同じ人でも、仕事中と休日では判断基準が変わることがあります
だから僕は、個性学を「人を分類するための道具」ではなく「人の違いに気づくための道具」として活用することが大切だと思っています。
これは、文章を書くうえでも非常に重要なんです。
「自由になれます」と「安心できます」
たとえば、あるオンライン講座を販売するとします。
その講座には、自分のペースで学べるという特徴があります。
さて、この特徴を、どう伝えればいいでしょうか?
ある人には「好きな時間に、好きな場所で、自由に学べます」という言葉が響くかもしれません。
自由を大切にしている人ですね。
でも別の人には「忙しい日があっても大丈夫。自分のペースで無理なく続けられます」という言葉のほうが響くかもしれません。
こちらは、安心感を大切にしている人です。
さらに「自分の理解度に合わせて、必要なところを何度でも復習できます」という言葉に魅力を感じる人もいるでしょう。
こちらは、納得感や確実性を重視する人です。
面白いですよね。
商品は同じです。
機能も同じです。
でも、どの価値を強調するかによって、伝わり方が変わるわけです。
これが、個性を理解する文章術の面白いところです。
僕がコピーを書くときに考えること
僕は企業のマーケティングやコピーライティングの現場で、さまざまな商品やサービスに関わってきました。
その中で、よく考えることがあります。
それは「この商品を欲しいと思う人は、何を一番大切にしているんだろう?」ということです。
たとえば、同じ健康食品でも…
- ある人は、価格を重視します
- ある人は、原材料を重視します
- ある人は、手軽さを重視します
- ある人は、実際に使った人の感想を重視します
つまり、商品に求める価値が違うんです。
そこで、商品の特徴をただ並べるのではなく「誰が、どんな理由で、この商品を選ぶのか?」を考える。
これは、文章を書く前の非常に大切な仕事です。
以前の放送でもお話ししましたが、文章を書く前に、人間を見る。
結局、ここにつながるんですね。
人は「欲しいもの」だけでなく「安心したいこと」も違う
ここで、もう一つ大切な視点があります。
それは、人によって、行動を止めている理由も違うということです。
たとえば、文章術の講座に興味を持っている人がいたとします。
でも、なかなか申し込まない。
なぜでしょう?
ある人は「自分にできるかな?」と不安に思っている。
別の人は「本当に効果があるのかな?」と疑っている。
また別の人は「今は忙しくて、時間が取れないかもしれない」と考えている。
さらに別の人は「ほかの講座と何が違うんだろう?」と比較している。
同じように申し込みを迷っていても、その理由は違うんです。
だから「今すぐ申し込みましょう!」と何度も言ったところで、解決しない場合があります。
相手が不安に思っているのなら、安心できる情報が必要です。
効果を疑っているのなら、具体的な事例や証拠が必要です。
時間がないのなら、学習に必要な時間や進め方を説明する必要があります。
比較しているのなら、違いや特徴を明確にする必要があります。
つまり「行動しない人」を説得する前に「なぜ行動できないのか」を理解する。
ここが重要なんです。
相手の個性を無視すると、親切が押しつけになる
これは、文章だけではありません。
人間関係でも同じです。
たとえば、誰かが悩んでいるとします。
僕たちは、つい「こうしたらいいんじゃない?」とアドバイスしたくなります。
でも、その人は、アドバイスが欲しいわけではないかもしれません。
ただ、話を聞いてほしいだけかもしれない。
あるいは、具体的な解決策を求めているかもしれない。
または、自分で考える時間が欲しいのかもしれない。
こちらは親切のつもりでも、相手が求めていなければ、負担になってしまうことがあります。
「せっかくアドバイスしたのに、なんで聞いてくれへんねん……」なんて思うこともありますよね(笑)
でも、そこで一度考えてみる。
「この人は、今、何を求めているんだろう?」と。
文章も、まったく同じなんです。
書き手が伝えたいことと、読み手が求めていること。
その二つが重なったとき、言葉は届きやすくなります。
AIを使えば、相手に合わせた表現を考えやすくなる
そして、ここでもAIが役立ちます。
たとえば、ある商品の紹介文を書いたとします。
その文章をAIに渡して「この文章を、自由を重視する人向けに書き換えてください」と頼む。
次に「安心感を重視する人向けに書き換えてください」と頼む。
さらに「具体的な根拠や比較を重視する人向けに書き換えてください」と頼む。
すると、同じ商品でも、違った切り口の文章が出てきます。
これは非常に便利です。
ただし、AIが出してきた文章が、そのまま読者に響くとは限りません。
大切なのは、実際の読者が、どんな言葉に反応するのかを確かめることなんです。
AIは、表現の選択肢を増やしてくれます。
でも、最終的に答えを教えてくれるのは、読者の反応です。
だから僕は…
AIで仮説をつくる
↓
実際に発信する
↓
反応を見る
↓
改善する
この繰り返しが大切だと思っています。
今日からできる「3つの価値観チェック」
では最後に、今日からできる簡単な実践を一つ紹介します。
次に商品やサービスを紹介する文章を書くとき、同じ特徴を、3つの角度から表現してみてください。
一つ目は「自由」という角度。
これを手に入れると、どんな自由が増えるのか?
二つ目は「安心」という角度。
これを手に入れると、どんな不安が減るのか?
三つ目は「成果」という角度。
これを手に入れると、何ができるようになるのか?
たとえば、文章術を学ぶ講座なら…
自由という角度では「自分の言葉で仕事を生み出せる可能性が広がります」
安心という角度では「何を書けばいいのかわからないという迷いを減らせます」
成果という角度では「読まれる文章から、行動につながる文章へと改善する方法を学べます」
という具合です。
もちろん、これ以外にも価値観はたくさんあります。
今回の3つは、あくまで練習用の切り口です。
でも、こうして考えるだけでも、文章の幅が広がります。
そして、実際に発信してみて、どの言葉に反応が集まるのかを観察してみてください。
そこから、読者のことが少しずつ見えてくるはずです。
文章術の本質は、相手を理解しようとする姿勢にある
さて、今日は「刺さる言葉」が、人によって違う理由というテーマでお話ししました。
ここまで、五つ星文章術を構成する5つの学問を一通り紹介してきました。
- 脳科学
- 広告心理学
- 行動経済学
- 神話学
- そして、個性学
それぞれ違う分野ですが、僕の中では、すべて一つにつながっています。
それは「人間を理解する」ということです。
文章がうまいだけでは、人は動かない。
正しいことを言うだけでも、人は動かない。
相手が何を感じ、何を信じ、何を恐れ、何を大切にしているのか。
そこまで想像して、初めて言葉が相手に届き始める。
そして、今日の個性学でお伝えしたかったのは「自分に響く言葉が、相手にも響くとは限らない」ということです。
だからこそ、書き手には、相手を理解しようとする姿勢が必要なんです。
僕は、コピーライティングというのは、単に言葉を巧みに操る技術ではないと思っています。
むしろ、相手の立場に立って考える力。
その力を、文章という形にしたものだと思っています。
次に何かを書くとき、ぜひ一度、自分に問いかけてみてください。
「この言葉は、自分が言いたい言葉だろうか。それとも、相手が聞きたい言葉だろうか?」
この問いかけだけでも、文章は変わっていくと思います。
文章を磨きながら、人を知る。
人を知りながら、自分の言葉を磨く。
「五つ星文章術」
今回は「刺さる言葉」が、人によって違う理由。「あなたの正解が、相手の正解とは限らない」というテーマでお話ししました。
最後までお聴きいただきまして、ありがとうございました。
宮本真愿でした。
それでは、また次回お会いしましょう。


