本記事は、voicyで配信している音声の文字起こしです。音声は以下のリンクからお聴きいただけます。
こんにちは、宮本真愿です。
前回は「文章がうまいのに、なぜ売れないのか?」というテーマでお話ししました。
文章を書くとき、多くの人は「どう書けばいいんだろう?」と考えます。
でも五つ星文章術では、その前に「そもそも人間は、どういうときに心が動くんだろう?」と考えます。
文章を読むのは人間ですからね。
だから文章を学ぶなら、人間を学ぶ。
今日は、その第一歩として、五つ星文章術を構成している5つの要素….
脳科学、広告心理学、行動経済学、神話学、個性学。
その一つ目「脳科学」のお話をしたいと思います。
今日のテーマは、人は「正しい文章」では動かない。
もう少し踏み込んで言うと、人間は、理屈だけではなかなか動かない。
感情が動いたときに、行動する、というお話です。
正しいことを書いているのに、なぜ反応されないのか?
僕はコピーライターとして、いろんな文章を見てきました。
- LP
- メルマガ
- SNS
- 広告
- 電子書籍
そこで、とてもよくあるのが「間違ったことは何一つ書いていない。でも、なぜか心が動かない文章」です。
- 商品のメリットがちゃんと書いてある
- 機能も説明してある
- 価格も書いてある
- 理屈も通っている
- 文章もきれい
でも…
欲しくならない。
あるんですよね、こういう文章。
書いた本人からすると「こんだけちゃんと説明してるのに、なんで売れへんねん……」となる(笑)
でも、人間というのは面白いもので「正しいから行動する」わけではありません。
僕たちは本当に「理性的」に買い物をしているのか?
たとえば、車を買うとしましょう。
- 燃費
- 安全性能
- 価格
- 維持費
- リセールバリュー
いろいろ比較しますよね。
Excelなんかで比較表を作ったら、ものすごく合理的に判断しているように見えます。
でも実際には、試乗した瞬間「うわ、この車ええな……」となることがああります(笑)
- ハンドルを握った感覚
- シートに座った感触
- ドアを閉めたときの音
- 運転している自分を想像したときの高揚感
そして、そのあとに…
「いや、この車、安全性能も高いしな」
「燃費もそんな悪くないし」
「長く乗ること考えたら、むしろお得やろ」
と理由を探し始めるんです(笑)
これ、買い物だけではありません。
- 人間関係でも
- 仕事でも
- 情報発信でも…
僕たちは思っている以上に、感情の影響を受けています。
「感情で決めて、理屈で正当化する」
マーケティングやコピーライティングの世界では「人は感情で決めて、理屈で正当化する」という考え方があります。
もちろん、人間の意思決定はそんな一言ですべて説明できるほど単純ではありません。
高額商品になればなるほど比較検討もしますし、合理的な判断も当然入ります。
でも文章を書くうえでは「理屈さえ伝えれば、人は動く」という前提を疑うことが非常に重要です。
たとえば「この講座には50本の動画があります」
これは情報です。
でも「もう『何を勉強したらいいかわからない』と迷い続けなくていい」となると、少し感情に近づきます。
「このパソコンはバッテリーが18時間持ちます」
これも情報です。
でも「外出先で、充電器を持ち歩かなくても一日仕事ができる」となると、自分の生活が見えてきます。
さらに「カフェで仕事をしている途中、残り5%の表示を見てコンセントを探し回らなくていい」となれば「ああ、それあるわ」となる人もいる。
スペックそのものではなく、そのスペックによって、自分の生活がどう変わるのか。
ここに感情が生まれます。
「説明」ではなく「体験」を想像させる
僕が文章を書くときに大切にしていることの一つが、読者の頭の中に映像をつくることです。
たとえば「このサービスを利用すると、業務効率が向上します」と言われても、正しいんですが、あまり何も感じません。
では「毎晩21時までパソコンに向かっていた仕事が18時に終わって、久しぶりに家族と夕食を食べられる」
これだったらどうでしょう。
同じ「業務効率化」でも、意味が変わりますよね。
- 18時にパソコンを閉じる
- 家に帰る
- 食卓に座る
- 家族とご飯を食べる
読者の頭の中に映像が浮かびます。
人間にとって、具体的に想像できることは、感情につながりやすい。
だからコピーを書くとき「何を説明するか?」だけではなく「読者に何を想像してもらうか?」まで考えてみてください。
感情を動かす=煽る、ではありません
ここで、一つ誤解してほしくないことがあります。
「感情を動かす文章」と聞くと、ものすごく煽る文章を想像する人がいます。
「今すぐ申し込まなければ一生後悔します!」
「このチャンスを逃したら人生終わりです!」
みたいな。
いやいや「そこまで言う?」っていう(笑)
僕が言っている「感情を動かす」は、そういうことではありません。
不安を必要以上に煽ることでも、恐怖を植えつけることでもありません。
むしろ、相手がすでに持っている感情を理解して、言葉にしてあげることです。
たとえば「毎日投稿しているのに、反応がない」という人がいます。
その人に「SNS運用を改善しましょう」と言うこともできます。
でも「今日も一生懸命書いた。でも『いいね』が2つ。スマホを閉じながら『自分には発信の才能がないのかな』と思ってしまう」と書かれていたら、同じ経験をしている人は「これ、私のことだ」と思います。
人は、自分の感情を正確に言葉にしてくれた相手に「この人はわかってくれている」と感じます。
僕はこれが、コピーライティングにおける非常に重要な力だと思っています。
「共感」は、優しい言葉を書くことではない
ここも大切です。
共感というと…
「大丈夫ですよ」
「あなたならできます」
「無理しないでくださいね」
みたいな優しい言葉を想像するかもしれません。
もちろん、それが必要な場面もあります。
でもコピーライティングにおける共感は、単に優しい言葉を書くことではありません。
「そうそう、それなんだよ」と相手に思ってもらえることです。
そのためには、相手を観察しなければいけません。
- 何に悩んでいるのか
- そのとき、どんな独り言を言っているのか
- 夜、布団に入ったとき何を考えているのか
- 人には言っていないけれど、本当は何が怖いのか
- 逆に、本当はどうなりたいのか
ここまで想像できると、文章が変わります。
だから前回お話しした「文章を書く前に人間を見る」というところにつながるわけです。
AI時代は、ここがさらに重要になる
そして僕は、AI時代にはこの力がさらに重要になると思っています。
AIは説明が得意です。
- 要約もできる
- 整理もできる
- 文章もきれいにできます
でもAIに「40代になって副業を始めたけれど、SNSを開くたびに20代の成功者が流れてきて、焦っている人の気持ちを書いて」と頼むのと…
実際に40代で、仕事が終わったあと疲れた身体でスマホを開いて「俺、今から始めて間に合うんかな…」と感じたことのある人が書くのとでは、やっぱり違うものがあります。
少なくとも僕は、その人が本当に経験した感情は、ものすごく強い一次情報になると思っています。
だからAIを使うな、という話ではありません。
僕自身も使います。
大事なのは、AIに文章を書かせる前に、自分の中にある経験や感情を渡せるかどうかです。
AI時代だからこそ…
- 自分が何を経験して
- 何を感じて
- 何に悩んで
- どう乗り越えてきたのか
そこに価値が出てくると思います。
今日からできる「感情の一行」
では最後に、今日からできる実践を一つ。
次に文章を書くとき、説明を書く前に、読者の「心の中の一言」を書いてみてください。
たとえば…
- ダイエットなら「また今日も食べてしまった……」
- 副業なら「このまま会社だけに頼っていて大丈夫かな」
- 情報発信なら「毎日書いてるのに、誰にも届いてない気がする」
- 文章術なら「言いたいことはあるのに、うまく言葉にならない」
こんな一言です。
そして考えてみてください。
この人は、なぜこんなことを思っているんだろう?
ここから文章を始める。
すると「こちらの商品には○○という機能があります」という商品の説明から始める文章とは、かなり違ってくるはずです。
人を動かす前に、人の心を見る
今日お伝えしたかったのは、感情を操りましょう、という話ではありません。
まったく逆です。
人を動かそうとする前に、その人の心を理解しようという話です。
文章の向こう側には、人がいます。
その人には…
- 悩みがある
- 願いがある
- 不安がある
- 期待がある
- 過去がある
- そして未来があります
そこまで想像して書いた文章と、ただ情報を並べただけの文章。
同じテーマでも、届き方はまったく違います。
だから五つ星文章術では、文章を書く前に、人間を学びます。
そして、その入口の一つが「脳科学」です。
正しいだけでは、人は動かない。
心が動いたとき、人は初めて一歩を踏み出す。
ぜひ次に文章を書くとき「何を書こう?」だけではなく「この文章を読んだ人に、何を感じてもらいたいんだろう?」と、一度考えてみてください。
文章が少し変わってくると思います。
文章を磨きながら、人を知る。
人を知りながら、自分の言葉を磨く。
今回は「人は『正しい文章』では動かない」
というテーマでお話ししました。
最後までお聴きいただきましてありがとうございました
宮本真愿でした。
それでは、また次回お会いしましょう。


