具体的に書けば売れる…は半分だけ正しい

目次

数字を入れるだけでは信じてもらえない。AI時代の文章に必要な「証拠の匂い」がする細部のつくり方

「具体的に書けば、文章には説得力が出る」

これは正しいです。

でも、数字を入れれば「具体的な文章」になると思っているなら、少し危険です。

「満足度98%」
「売上300%アップ」
「たった7日で」

このような数字は確かに強いです。

でも僕はコピーを書くとき、数字以上に「その話、本当にあったんだろうな」と感じる細部を探します。

なぜなら、人を納得させる具体性と、人に信じてもらう具体性は、少し違うからです。

「具体的に書く=数字を入れる」ではない

文章術を学ぶと「抽象的に書かず、具体的に書きましょう」と教えられます。

たとえば…

「たくさんのお客様」より「327人のお客様」
「売上が大きく伸びた」より「売上が前年比143%になった」

など、確かに、数字が入ると、輪郭が出ます。

ただ、数字だけでは、文章が急に広告っぽくなることもあります。

「満足度98.7%!」
「成功率93.2%!」
「利用者10,000人突破!」

並べれば並べるほど、読者の頭の中で、別の声が聞こえてくるんです。

「……それ、ほんま?」です(笑)

数字は「具体性」をつくる。でも「信頼」までは保証しない

数字には、情報を具体化する力があります。

でも、その数字を、なぜ信じていいのか。

ここが抜けていると、数字の強さが、逆に怪しさになることがあります。

たとえば「お客様満足度98%」だけでは、僕なら気になります。

  • 何人に聞いた?
  • いつ調べた?
  • どういう質問だった?
  • 回答者だけ?
  • 母数は?

もちろん、広告ですべて説明する必要はありません。

でも、少なくとも書き手側は、数字の後ろにある事実を説明できる状態にしておきたいものです。

僕が欲しいのは「証拠の匂い」

少し変な言い方ですが、僕はコピーを書くとき「証拠の匂いがする言葉」を探します。

大げさな主張ではなく「これ、作り話ならこんな細かいことまで言わないよな」と思えるものです。

たとえば「この方法で仕事の効率が上がりました」より「以前は毎晩22時までパソコンを開いていましたが、最近は19時台に閉じられる日が増えました」のほうが、場面が見えます。

さらに「先週は久しぶりに娘と平日の夕飯を食べました」というシーンまで出てくると、リアリティを感じます。

確かに、数字は強いです。

でも、信頼をつくっているのは、数字だけではありません。

その人の生活にしか存在しない細部です。

「売上が上がりました」より、通帳を見る手が止まった話

たとえば「売上が伸びました」だけなら、よくある感想です。

「3か月で売上が37%伸びました」なら、かなり具体的です。

でも、その人が続けて「毎月25日を過ぎると、支払いが気になって何度もネットバンクを開いていたんですが、先月は一度も開きませんでした」と言ったらどうでしょう。

僕は、こういう言葉を、かなり大事にします。

なぜなら、37%という数字が、その人の人生で何を意味したのかまで見えるからです。

人は「完璧な説明」より「妙にリアルな一言」を信じることがある

先日、お客様の声について、こんな話を書きました。

「前向きな変化を実感できました」より、夫から「最近なんか楽しそうだね」と言われた。

この一言のほうが、変化をリアルに感じることがある。

これも同じです。

「なんか」なんて言葉は、文章としては、なくても成立します。

むしろ、AIに整えさせたら、真っ先に消されそうです(笑)

でも、実際の会話なら、こういう言葉が入るんですよね。

だから、人間の匂いがするんです。

具体性には「縦」と「横」がある

僕は、具体性を考えるとき、大きく二方向をみます。

一つは「横の具体性」です。

  • 数字
  • 日時
  • 場所
  • 人数
  • 金額
  • 回数
  • 期間
  • サイズ

こういう、事実を細かくする情報です。

もう一つが「縦の具体性」です。

その出来事の奥へ、一段ずつ降りていく「情景」です。

うれしかった
↓
なぜ? →「家族に褒められたから」
↓
何と言われた? →「最近、楽しそうだね」
↓
どこで? →「夕飯を食べていたとき」
↓
そのとき何を思った? →「自分では変わったつもりがなかったので、びっくりした」

このように掘っていくと、単なる感想が、一つの場面(情景)になります。

コピーライターは「言葉を足す人」ではなく「掘る人」

これは、先日も書いた、僕が大切にしている考え方です。

コピーライターというと…

  • うまい言葉を考える人
  • 人の興味を誘うキャッチコピーを作る人

そう思われがちです。

もちろん、それも仕事です。

でも、実際には、書く前に、かなり聞きます。

「それ、いつですか?」
「そのとき誰がいました?」
「具体的に何と言われました?」
「その前はどうだったんですか?」
「最初に何をしたんですか?」
「一番困った瞬間は?」
「そのとき、何を考えました?」

なんだか、コピーライターというより、刑事みたいです(笑)

でも、ここで出てきた言葉のほうが、机の前で僕が考えた、格好いいコピーより強いことが多いんです。

抽象語は「ウソ」ではない。でも、疑われやすい

たとえば…

「徹底サポートします」
「親身に寄り添います」
「高品質なサービスです」
「豊富な経験があります」

どれも、ウソとは限りません。

本当に、そうなのかもしれない。

でも、問題があります。

競合も、だいたい同じことを書いているということです。

「親身に寄り添います」と100社が書けば、101社目の、本当に親身な会社まで、同じに見えます。

だから「親身です」と言う代わりに、親身さが見える事実を書くのです。

抽象語を一度禁止してみる

これは、文章を書くときに使える、ちょっとした練習です。

自分の商品について…

「親切」
「丁寧」
「高品質」
「充実」
「安心」
「本格的」
「圧倒的」
「徹底的」

こういう抽象語を、一度、禁止してみる。

そして、こう考えるんです。

「それが本当だとわかる出来事は?」

たとえば…

「丁寧なサポート」ではなく「初回面談後、当日中に個別の改善ポイントを3つお送りします」なら、丁寧さが見えます。

「豊富な経験」ではなく「これまで23社のマーケティング支援に関わってきました」なら、経験の輪郭が見えます。

ただし、当然ですが、事実であることが大前提です。

「すごい」と言わずに、すごさを見せる

これは、文章の説得力を上げるうえで、かなり使えます。

「この商品はすごいです」と言わない。
→ すごいと感じる事実を書くのです。

「多くの人に支持されています」と言わない。
→ 支持されていることがわかる事実を書くのです。

「お客様から喜ばれています」と言わない。
→ 実際に、何と言われたのかを書くのです。

つまり、評価を自分で書かず、読者に評価してもらう。

「すごいですね」と書き手が言うより、読者の頭の中で「それ、すごいやん」と思ってもらう。

こっちのほうが、ずっと強いです。

神話学でも「説明」より「場面」が人を引き込む

これは、物語でも同じです。

「彼は勇敢な男だった」と書いたとします。

これは単なる説明です。

でも「燃えている建物に、一人で戻っていった」と書けば「勇敢」という言葉を使わなくても、読者が判断できます。

つまり、性格を説明するのではなく、性格が見える行動を書くのです。

これは、コピーでも同じです。

商品の価値を説明するより「価値が見える場面」を書くのです。

AI時代ほど「細部」の価値が上がる

生成AIは、抽象的な文章を、ものすごく上手に書きます。

「お客様一人ひとりに寄り添い、理想の未来を実現するため、全力でサポートいたします」

文章としては綺麗ですし、間違っていません。

でも、この文章だけなら、100社が使えます。

AIが悪いのではありません。

AIに、その会社にしかない材料を渡していないからです。

AIには「文章」より「事実」を渡す

僕なら、AIに「魅力的に書いて」と頼む前に、材料を集めます。

  • いつ?
  • どこで?
  • 誰が?
  • 何人?
  • 何日?
  • 何と言った?
  • 何が変わった?
  • 失敗は?
  • 意外だったことは?
  • お客様がよく使う言葉は?

そういった材料を、AIに渡します。

すると、AIが作る文章も、その人、その会社、その商品の文章に、近づいていきます。

AI時代に差がつくのは、文章生成力より、事実収集力。

僕は、そう思っています。

「具体的にして」とAIに頼むだけでは危ない

ここは、注意したいところです。

AIに「もっと具体的にしてください」と頼むとします。

すると、数字や場面を、それらしく補ってくれる場合があります。

でも、コピーでそれをやると、かなり危険です。

  • 存在しない数字
  • 言っていないお客様の声
  • 起きていないエピソード

それを、もっともらしく書いてしまえば、具体的ではあっても、事実ではありません。

だから、AIには、次のように伝えるほうがいい。

「以下の事実だけを使って具体化してください。存在しない数字・事例・発言は追加しないでください」

AIに想像させる部分と、想像させてはいけない部分を、人間が分ける。

これは、これからますます重要になると思います。

僕が文章を書いたあとにする「証拠チェック」

商品やサービスのコピーなら、書いたあと、僕はこんな目で読み返します。

「この主張の後ろに、何がある?」

「人気です」→ 何を根拠に?
「効果があります」→ どんな事実がある?
「初心者でも安心」→ なぜ安心?
「丁寧にサポート」→ 具体的に何をする?
「多くの実績」→ 何件?どんな実績?

答えられないなら、言葉が先走っている可能性があります。

強いコピーほど「根っこ」が必要

キャッチコピーは、木の枝葉みたいなものだと思っています。

目立つし、最初に見えます。

でも、枝葉だけでは、木は立ちません。

その下に、事実という根っこがあるのです。

  • 経験
  • 数字
  • お客様の声
  • 具体的な出来事
  • 失敗
  • 検証
  • 現場

根っこが深いほど、強い言葉を使っても、倒れにくいです。

逆に、根っこがないのに…

「圧倒的!」
「革命的!」
「人生が変わる!」

と枝だけ巨大にすると、強風が吹いたら……まあ倒れます(笑)

説得するより「確認できる材料」を置く

僕は、文章で人を説得しようとするときほど「説得しよう」としすぎないほうがいいと思っています。

「信じてください!」ではなく、信じるかどうかを、読者が判断できる材料を置く。

  • 数字
  • 具体的な場面
  • お客様の言葉
  • プロセス
  • 失敗も含めた経緯

そして、最後は、読者に判断してもらう。

そのほうが、文章は、押しつけがましくなりません。

今日から使える「抽象語→事実」変換

もし、自分の文章を見直すなら、まず、抽象語を一つ探してみてください。

たとえば「丁寧です」という抽象語があった場合、次のように自分へ聞いてみます。

「それが本当だとわかる事実は?」

親身です
↓
どんな行動をしている?

実績があります
↓
数字や事例は?

初心者でも安心
↓
初心者が迷わない仕組みは?

人生が変わります
↓
具体的に何がどう変わった?

この変換をするだけで、文章から「広告臭」が少し消えます。

そして、代わりに「現実の匂い」が出てくるのです。

信じてもらえる文章は「うまい文章」とは限らない

少しくらい、不格好でもいいんです。

  • 本人しか使わない言葉がある
  • 妙に細かい数字がある
  • ちょっとした失敗がある
  • そのときの会話がある
  • 生活の場面がある

そういう文章を読むと、僕たちは、無意識に感じます。

「この人、本当にそこにいたんだろうな」

これ、AI時代には、ものすごく大きな価値になると思っています。

誰でも、きれいな文章を書ける時代だからこそ、問われるのは、文章の美しさだけではありません。

あなたしか持っていない事実が、そこにあるか?

もし今日、何か投稿を書くなら「もっと上手く書こう」とする前に、一つだけ、自分に聞いてみてください。

「この話が本当だと伝わる、妙に具体的な一つは何だろう?」

  • 時間でもいい
  • 場所でもいい
  • 会話でもいい
  • 失敗でもいい
  • 数字でもいい

その一つが入るだけで、文章は「それっぽい話」から「この人が本当に体験した話」へ変わります。

説得力は、声を大きくすることではありません。

読者が自分で「これは本当かもしれない」と判断できる材料を、静かに置いていくこと。

僕は、それが、信じてもらえる文章の強さだと思っています。

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