読者の背中を押す前に「足元の石」をどけてください

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行動経済学から考える、人を動かすCTAのつくり方

欲しいと思わせたのに、なぜか売れない。

その原因は、商品の魅力ではなく、最後の「面倒くさい」に負けているだけかもしれません。

人は「やったほうがいい」とわかっていても動きません。

僕も、健康診断の予約画面を開いたまま「あとでやろ」と閉じたことがあります(笑)

この「わかっている。でも、今はやらない」を理解すると、文章の最後、つまりCTAの書き方が変わります。

人は「未来の得」より「今の面倒」に負ける

行動経済学には「現在バイアス」と呼ばれる考え方があります。

簡単に言えば、将来の大きな利益より、目の前の小さな快楽や負担を、強く感じやすい傾向です。

たとえば…

運動したほうがいい。
↓
わかっている
↓
でも、ソファから立つのが面倒

貯金したほうがいい
↓
わかっている
↓
でも、今日くらい好きなもの買ってもいいか

早く寝たほうがいい
↓
わかっている
↓
でも、あと一本だけYouTubeを…

そして気づけば、おすすめ動画と一緒に、日付まで変わっている(笑)

人間は「正しい未来」だけでは、なかなか動きません。

コピーでも、同じことが起きている

たとえば、あなたの記事を読んだ人が「この無料レポート、ちょっと欲しい」と思ったとします。

ところが、ボタンの直前で、こんなことを考える。

「登録面倒そう」
「メールたくさん来そう」
「あとで読めばいいか」
「名前とか入力するのかな」
「今ちょっと時間ないし」

商品に興味がなくなったわけではありません。

行動する直前に、小さな摩擦が生まれただけです。

売れない理由は「欲しくない」だけではない

マーケティングをしていると、反応がないと、すぐ…

「魅力が足りなかったのかな」
「もっと強いベネフィットを書こう」
「もっと実績を載せよう」

と考えがちです。

もちろん、それが原因の場合もあります。

でも、僕はもう一つ見ます。

「行動するのが、面倒に見えていないか?」です。

人は「YES」のあとでも離脱する

読者の頭の中で、すでに「欲しい」というYESが出ている。

それでも、行動しないことがあります。

  • 申し込みフォームが長い
  • 何を入力するかわからない
  • 申し込んだあと、どうなるかわからない
  • 解約方法がわからない
  • 時間がかかりそう
  • 説明をもう一度読まないと、何をすればいいかわからない

こうした小さな「?」が、一個ずつ、ブレーキになりえるです。

僕はこれを「行動の段差」と考えています

読者に…

  • 購入
  • 登録
  • 予約
  • 問い合わせ
  • 資料請求
  • フォロー

など、何か行動してほしいと考えます。

でも、書き手側から見ると「ボタンを押すだけ」に見える行動でも、読者側から見ると、高さ30センチの段差かもしれないんです。

だから「もっと強く背中を押そう」ではなく、僕なら「この段差、もっと低くできないかな?」と考えます。

強いCTAより「低い段差」

たとえば「今すぐ個別相談にお申し込みください」と書く。

人によっては、少し重く感じます。

「個別相談って売り込まれないかな?」
「何分かかるんだろう?」
「顔出し必要?」

いろいろ考えます。

そこで、事実としてそうであるなら…

「まずは30分、今のお悩みを聞かせてください」
「無理に商品をおすすめすることはありません」
「候補日を選ぶだけで予約できます」

など、行動前の不安を、一つずつ減らす。

これは、煽るのとは逆です。

動けない理由を、静かに取り除いているのです。

CTAは「命令文」ではない

Call To Action。

日本語では「行動喚起」などと訳されます。

そのせいか…

「今すぐクリック!」
「お申し込みはこちら!」
「このチャンスを逃さないで!」

みたいに、読者のお尻を叩く場所だと、思われがちです。

でも僕は、CTAを「読者が次の一歩を迷わないための案内板」だと考えています。

「行動してください」より「次はこれです」

たとえば、長い記事を読み終えた読者に、突然「今すぐ申し込んでください!」と言う。

階段を3段飛ばしで、上がらせるようなものです。

そうではなく「もう少し詳しく知りたい方は、まずこちらの無料レポートを読んでみてください」とする。

あるいは「今日できることは、この3つのうち1つだけです」とする。

次の一歩を、小さく、具体的にする。

すると、読者は動きやすくなります。

「無料」でも、人は動かない

これは、けっこう重要です。

「無料なら申し込むでしょ」と思ってしまう。

でも、無料でも、人は動きません。

なぜなら、人が払うのは、お金だけではないからです。

  • 時間
  • 手間
  • 個人情報
  • メールアドレス
  • 心理的な負担
  • 後で営業されるかもという警戒

0円=負担ゼロではありません。

だから、価格以外のコストを見る

無料レポートなら、読者は、こんなことを考えるかもしれません。

「何ページあるの?」
「読むのにどれくらいかかる?」
「登録したら何が届く?」
「スマホで読める?」
「すぐ読める?」

こうした疑問に、必要な範囲で答えておきます。

たとえば…

「登録後すぐ読めます」
「スマホで読めるPDFです」
「約15分で読めます」

もしそれが事実なら、一言添えるだけで、行動の段差は下がります。

文章で人を動かすなら「不安」を探す

僕はCTAを書くとき「どう言えば申し込んでくれるか?」だけではなく、こう考えます。

「この人は、なぜ申し込まないんだろう?」

  • 時間がない?
  • 失敗したくない?
  • 売り込まれたくない?
  • 難しそう?
  • 自分にはまだ早い?
  • 登録が面倒?

それぞれ、止まる理由が違います。

そして、その理由がわかれば、必要な一文も変わります。

ここでも「個性」が出る(個性学の出番)

たとえば、同じ講座でも…

  • 慎重な人なら「自分にもできるのか」が気になる
  • 効率を重視する人なら「どれくらい時間がかかるのか」が気になる
  • 自由を重視する人なら「自分のペースでできるのか」が気になる
  • 結果を重視する人なら「何ができるようになるのか」が気になる

だから、CTA直前の文章は、単なる決まり文句ではありません。

最後の読者理解が出る場所なんです。

僕がよく見る「CTAの3つの壁」

文章の最後で、僕が特に見るのは、次の3つです。

1. 何をすればいいかわからない
→ 行動を一つにする。

2. やったあと何が起こるかわからない
→ 次に起こることを書く。

3. 面倒・怖い・重い
→ 本当に必要な手順だけにして、不安を減らす。

この3つを確認するだけでも、CTAはかなり変わります。

選択肢を増やしすぎない

以前、選択肢のパラドックスについても書きました。

人は、選択肢が多すぎると、選べなくなることがあります。

CTAでも同じです。

LPの最後に…

「メルマガはこちら」
「LINEはこちら」
「無料相談はこちら」
「商品はこちら」
「YouTubeも見てね」
「Instagramも」
「Xもフォローして」

……。

で、僕は何したらええの?となる(笑)

親切のつもりが、読者に判断を丸投げしてしまっています。

一つの文章に「一番してほしい行動」を決める

もちろん、複数の導線が必要な場合もあります。

でも、少なくとも、優先順位は決めたいところです。

この記事を読んだ人に、次に何をしてほしいのか。

無料レポートを読んでほしいなら、そこへ集中する。

コメントしてほしいなら、答えやすい質問を一つ置く。

商品を見てほしいなら、商品ページへの理由をつくる。

書き手が迷っていると、読者も迷います。

「今すぐ」は、本当に必要か?

コピーでは「今すぐ」という言葉が、よく使われます。

僕も、必要なら使います。

でも、何でもかんでも「今すぐ!」にしなくていいと思っています。

本当に期限があるなら、期限を書く。

席数が決まっているなら、事実として伝える。

でも、理由がないのに、焦らせる必要はありません。

人は、押されると、警戒することもあるからです。

急がせるより「今やる理由」をつくる

僕なら、煽る代わりに、こう考えます。

「なぜ、あとでではなく今やるといいのか?」

たとえば、無料レポートなら「次の投稿を書く前に、このチェックリストだけ確認してみてください」なら、今読む理由がある。

テンプレートなら「次回のメルマガを書くとき、そのまま使えます」なら、行動とタイミングがつながる。

「今すぐ!」と叫ぶより、今やる「意味」を伝えるのです。

AIにCTAを作らせるときの質問

AIに「強いCTAを10個作って」と頼むと、かなり元気なCTAが、大量に出てきます(笑)

もちろん、アイデア出しには使えます。

でも、僕なら、その前に聞きます。

「この読者が、ここまで読んでも行動しない理由を10個挙げて」

次に「その不安や面倒を減らすために、文章で説明できることは?」

さらに「最初の行動を、もっと小さくできない?」

この順番で考えると、押すCTAから、動きやすくするCTAへ変わります。

読者は「動かされたい」わけではない

ここが、僕は一番大事だと思っています。

文章術では、よく「人を動かす」という言葉を使います。

僕自身も使います。

でも、読者は、誰かに操られたいわけではありません。

本当は、自分で納得して、自分で決めて、自分で動きたい。

だから、いい文章とは、無理やり人を動かす文章ではなく「動きたいのに動けない理由」を取り除く文章なのだと思います。

読者の背中を強く押す前に、足元の石をどける

僕は、このイメージが好きです。

前へ進みたい人がいる。

そこで、後ろから…

「行け!」
「今すぐ!」
「人生変わるぞ!」

と、強く押す。

それも、場合によっては必要かもしれません。

でも、その人の足元に、大きな石があったら?

押す前に、石をどけたほうがいい。

その石が…

  • 「面倒そう」かもしれない
  • 「怖い」かもしれない
  • 「自分にできるかわからない」かもしれない
  • 「次に何が起きるかわからない」かもしれない

コピーライターの仕事は、声を大きくすることだけではありません。

読者が止まっている理由を見つけること。

そして、その理由を、一つずつ減らしていくことなんです。

最後の一文を書く前に

もし、あなたが今、商品ページ、LP、メルマガ、SNS投稿を書いているなら、CTAの直前で、一度こう考えてみてください。

「この人は、ここまで読んで“欲しい”と思っている。それでも動かないとしたら、なぜだろう?」

その答えが…

  • 「面倒そう」なら、簡単さを伝える
  • 「怖い」なら、不安に答える
  • 「あとでいい」なら、今やる意味を伝える
  • 「何をすればいいかわからない」なら、一歩だけ示す

人を動かす文章を書くとき、強い言葉を探す前に、行動の段差を一段低くする。

それだけで、文章の最後は、ずっとやさしく、そして、ずっと強くなります。

読者の背中を押す前に、まず、足元の石を一つどける。

それが、僕が考えるCTAです。

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