23社の現場でわかった、読者がページを閉じる場所
「このLP、コピーを直してもらえませんか?」
クライアントからそう相談されても、僕が最初に文章を直さないことがあります。
むしろ、ページを上から下まで見て、こんなことを確認します。
「申し込みボタン、どこですか?」
「この料金、結局いくらですか?」
「申し込んだあと、何が起きるんですか?」
コピーライターなのに、コピーを読んでいない(笑)
いや、もちろん読みます。
でもその前に「読者が途中で止まる場所」を探すんです。
売れない原因=コピーが弱い、とは限らない
商品が売れない。
LPから申し込みがない。
すると…
「キャッチコピーが弱いのかな」
「もっとベネフィットを強くしよう」
「実績を追加しよう」
「限定性を入れよう」
と考えがちです。
もちろん、必要なこともあります。
でも23社のマーケティング支援をしていると、それ以前のところで、読者がつまずいているケースがあります。
あるLPで、僕が気になったこと
以前、あるサービスのLPを見たときのことです。
商品自体は、悪くありませんでした。
むしろ、かなりいい。
実績もある。
お客様の声もある。
コピーも、致命的に悪いわけではない。
なのに、思ったほど反応が出ない。
ページを見ていくと、僕には、あることが気になりました。
「で、どうやって申し込むんだろう?」
ボタンはある。でも「その先」がわからない
申し込みボタン自体は、ちゃんとありました。
でも、読者の立場で考えると、押したあとの景色が見えない。
申し込んだら…
- すぐ決済?
- まず相談?
- 電話が来る?
- Zoom?
- 何分くらい?
- 何を準備する?
- 営業される?
- キャンセルできる?
売り手側は、全部知っています。
だから、何も疑問に思いません。
でも、初めて来た読者は、何も知らないんです。
売り手には単なる「1クリック」、でも読者には「未知の入口」
これ、かなり大きな違いです。
売り手から見れば「このボタンを押すだけです」なんです。
でも、読者からすると、そのボタンは、中が見えないドアかもしれないということ。
開けたら…
- 営業マンが待っているかもしれない
- 長いフォームが出てくるかもしれない
- クレジットカードが必要かもしれない
- 電話番号を入力したら、電話が来るかもしれない
人は、わからないものに対して、少し警戒します。
「興味がない」のではなく「ちょっと怖い」
ここを、僕は混同しないようにしています。
申し込みがない。
だから、欲しくない。
・・・とは限らないわけです。
- 欲しいけど、不安
- 興味はあるけど、面倒
- 気になるけど、まだわからない
そんな状態かもしれません。
つまり、商品の魅力を、さらに10個追加する前に、最後の「?」を一個消すだけでいい場合があるのです。
僕なら、まず「読者になりきって」歩く
LPを見るとき、マーケターとして見る前に、なるべく、初めて来た人のつもりで、ページを歩きます。
「この言葉、意味わかるかな?」
「ここで値段が知りたくならない?」
「なんで急にこの商品が出てきた?」
「この人、誰?」
「申し込むと何が届く?」
「どれくらい時間が必要?」
「スマホだとボタン見つけられる?」
「戻りたくならない?」
僕の頭の中は、だいたいこんな感じです(笑)
コピーライターは「文章」だけを見てはいけない
文章だけ抜き出したら、すごくいいコピー。
でも、ページ全体では売れない。
こういうケースは普通にあります。
たとえば…
素晴らしいキャッチコピーの直後に、専門用語だらけの説明が続く
↓
読者は、そこで離脱する
商品の魅力を理解して「ちょっと欲しいな」と思った
↓
でも、料金を探しても見つからない
↓
離脱する
最後まで読んで、申し込もうと思った
↓
でも、ボタンが小さい
↓
離脱する
これは「文章」が悪かったのではありません。
その前後にある、小さな摩擦に負けているのです。
僕が見るのは「感情の流れ」
LPを見るとき、僕は、文章を一文ずつ読むだけではありません。
読者の感情が、どう動くかを追います。
え、どういうこと?
↓
それ、私かも
↓
なるほど
↓
じゃあ、どうすれば?
↓
そんな方法があるの?
↓
本当に?
↓
この人なら信頼できそう
↓
ちょっと欲しい
↓
でも……
この、最後の「でも……」が重要なんです。
売れるLPには「でも」が先回りしてある
「でも、高いんじゃない?」
「でも、自分にもできる?」
「でも、時間がない」
「でも、怪しくない?」
「でも、続かなかったら?」
「でも、申し込んだら売り込まれそう」
読者は、口には出しません。
黙ってページを閉じます。
だから、売り手が、先に気づかなければなりません。
読者が言わない「でも」を拾う。
これも、コピーライターの仕事だと思っています。
ある一文を足すだけでいいこともある
たとえば、個別相談へのCTA。
「無料個別相談はこちら」だけでは、不安な人もいます。
でも、事実として…
「所要時間は約30分です」
「事前準備は必要ありません」
「まず現在のお悩みを伺います」
「相談だけでも構いません」
などと言えるなら、必要なものを添える。
文章量としては、数十文字です。
でも、その数十文字が、読者の頭の中にあった、数十個の妄想(笑)を消してくれることがあるのです。
「強いコピー」を足すより「怖さ」を引く
ここ、僕はかなり重要だと思っています。
反応が悪いと、僕たちは、ついつい「足し算」をしたくなります。
- もっと強いキャッチコピー
- もっと実績
- もっとお客様の声
- もっと特典
- もっと保証
- もっと限定性
でも、すでに魅力が十分伝わっているなら、必要なのは、足し算ではなく「引き算」かもしれません。
- 読者の不安を引く
- 手間を引く
- 迷いを引く
- わかりにくさを引く
商品の価値を100から120にするより、行動の摩擦を50から20にする。
そんな発想です。
前回の記事で書いた「足元の石」
前回投稿した記事で、CTAについて、こんな話を書きました。
「読者の背中を、強く押す前に、足元の石をどける」
現場でLPを見るときも、僕がやっていることは、かなり近いです。
売り手は、読者の後ろに立って…
「さあ!」
「今すぐ!」
「チャンスです!」
と押したくなりがちです。
でも、読者の足元を見ると、石だらけだったりするわけです(笑)
「料金がわからない」
「時間がわからない」
「申し込み後がわからない」
「自分向けかわからない」
「何をするかわからない」
だったら、まず石をどけるのが先決なんです。
僕がLPを見るときの「5つの摩擦」
実際には、商品や導線によって違いますが、僕は大きく、こんな摩擦を見ています。
1. 理解の摩擦
何の商品なのか、すぐ理解できるか。
2. 信頼の摩擦
誰が提供しているのか。なぜ信じていいのか。
3. 選択の摩擦
プランや選択肢が多すぎて、迷わないか。
4. 行動の摩擦
申し込み方法が、面倒に見えないか。
5. 心理の摩擦
買ったあと、後悔しそう。失敗しそう。売り込まれそう。
そんな不安が、残っていないか。
コピーを直す前に、このどこで、読者が止まっているのかを見るのです。
「もっと書く」が正解とは限らない
たとえば…
- 信頼が足りないなら、実績を追加する
- 理解が足りないなら、説明を追加する
- でも、選択肢が多すぎるなら、削る
- フォームが長いなら、減らす
- 同じ説明を繰り返しているなら、削る
つまり、マーケティングの改善は、いつも、文章を増やすことではありません。
書く。削る。並べ替える。見せ方を変える。
全部、読者の摩擦を減らすためにやるのです。
スマホで見ると、別のLPになる
これも、現場ではよく確認します。
- パソコンでは、きれい
- でも、スマホで見ると、長い
- キャッチコピーが、5行になっている
- ボタンまで、遠い
- 表が、読めない
- 文字が、小さい
- 画像の中の文章が、潰れている
作っている側は、大きなモニターで見ています。
でも、読者は、電車の中で、片手で見ているかもしれません。
この差は、かなり大きいです。
「読める」と「読む」は違う
文字が表示されている。
だから、読める。
でも、実際に読むかどうかは、別です。
僕は、スマホでLPを見るとき「親指だけで最後まで行けるか」くらいの感覚で見ます。
途中で「もういいかな」となる場所はないか。
内容ではなく、物理的な疲れで、離脱していないか。
読者は、LPを読むために、気合いを入れて来たわけではありません(笑)
AIにコピーを書かせる前に、やってほしいこと
今は、AIにLPを見せて「もっと売れるコピーにして」と頼むこともできます。
もちろん、便利です。
僕も使います。
でも、その前に、こう聞いてみるのも面白いです。
「初めてこのページを見た人が、不安・疑問・面倒を感じそうな場所を挙げて」
さらに「申し込みたい気持ちはあるのに、途中でやめるとしたら、どこ?」と聞いてみます。
コピー案ではなく「離脱理由」を出させる。
これだけで、AIの使い方も変わります。
コピーライターなのに「ここ、文章じゃないですね」
僕は、クライアントに、こんなことを言うことがあります。
「ここ、コピーを変える前に、導線を変えたほうがいいですね」
「この説明、追加するより、選択肢を減らしたほうがいいと思います」
「このボタン、もっとわかりやすくしましょう」
コピーライターとして呼ばれたのに、コピーを書かないという謎の行為(笑)
でも、僕の仕事は、美しい文章を書くことではありません。
読者が迷わず、納得して、次へ進める状態をつくることです。
そのために、文章を変える必要があるなら、変える。
文章以外を変えたほうがいいなら、そっちを変える。
コピーライターには、その見極めが重要になってくるのです。
売れないLPを見たら、最初にこう聞く
「コピーが弱いのかな?」ではありません。
まず、次のように考えます。
「読者は、どこで止まっているんだろう?」
- 興味を持てないのか
- 理解できないのか
- 信じられないのか
- 選べないのか
- 怖いのか
- 面倒なのか
止まっている理由によって、処方箋は、まったく違います。
風邪なのに、胃薬を飲んでも、効きません。
これはLPでも同じです。
「売る文章」より「止まらない文章」
もちろん、コピーには、人の感情を動かす力があります。
でも、僕が現場で目指しているのは、読者を無理やり動かす文章ではありません。
読みながら…
「そうそう」
「なるほど」
「それなら」
と、自然に次へ進んでいく文章構成です。
そして、最後に、自分で納得して、行動を選べる。
そんな状態です。
だから、売れないLPを見たとき、僕は、いきなりキャッチコピーを、100案考えたりしません。
まず、読者と一緒に、ページの入口から歩いてみる。
そして…
- 途中に石があれば、拾う
- 道がわかりにくければ、案内板を置く
- 段差が高ければ、低くする
- 暗ければ、少し明るくする
それでも進まないなら、そこで初めて、言葉そのものを疑う。
コピーライターの仕事は、言葉を増やすことではありません。
読者が止まる理由を、一つずつ減らすことです。
もし今、あなたのLPや商品ページの反応が悪いなら、コピーを書き直す前に、一度だけ、読者になって、最初から最後まで歩いてみてください。
そして、こう問いかけてみましょう。
「もし私がここでページを閉じるとしたら、なぜだろう?」
その答えが、次に直すべき、本当の一行かもしれません。


