本記事は、voicyで配信している音声の文字起こしです。音声は以下のリンクからお聴きいただけます。
こんにちは、宮本真愿です。
ここまで3回にわたって、どうすれば文章が人に届くのか?という話をしてきました。
前々々回では、文章を書く前に、人間を見る。
前々回では、正しいことを伝えるだけではなく、人間の感情を見る。
そして、前回は、最初の数秒で「これは自分に関係がある」と感じてもらう。
というお話をしました。
これらを意識することで、無事に文章を読んでもらえたとします。
そして、読者からも「これ、自分のことかもしれない」とも思ってもらったとします。
結果、それで商品が売れるかというと…
残念ながら、まだ売れません(笑)
次に、とても大きな壁が現れます。
それが「それ、本当なの?」という壁です。
今回のテーマは「いいこと言ってるのに、なぜか信じてもらえない」現象の正体。
五つ星文章術を構成する5つの要素の一つ「広告心理学」の世界に入っていきます。
人は、あなたが言ったことをそのまま信じない
たとえば僕が「五つ星文章術は、ものすごく素晴らしい文章術です!」と言ったとします。
どうでしょう。
まあ…
そりゃ自分の商品ですから、そういうのは当たり前です(笑)
僕が「五つ星文章術なんて、たいしたことないですよ」と言っていたら、そっちのほうが問題です。
商品やサービスを提供している本人が「これは素晴らしいです」と言うのは当然ですよね。
だから読み手の頭の中では、次のような声が聞こえています。
「いや、それ宮本さんが言うてるだけやん」と(笑)
これが、セールス文章の難しいところです。
売り手が自分の商品を褒めれば褒めるほど、その言葉には割り引きがかかるんです。
だから必要になるのが「自分以外の証拠」です。
行列を見ると、なぜ気になってしまうのか?
たとえば、知らない街を歩いていたとします。
お昼になって「何か食べようかな」と思っていいます。
すると、一軒はガラガラ。
もう一軒には、10人くらい行列ができている。
どちらに興味を持つでしょうか?
もちろん「並ぶの嫌だから空いているほうへ行く」という人もいます(笑)
でも多くの場合、行列を見た瞬間「ここ、何か美味しいもんあるんかな?」と思いますよね。
まだ食べていないんです。
味も知らない。
口コミも読んでいない。
それでも「これだけ人が並んでいるなら、何か理由があるんだろう」と感じるわけです。
これが心理学でいう「社会的証明」と呼ばれるものです。
人間は、自分だけでは判断しづらい状況で「他の人はどうしているんだろう?」を判断材料にする傾向があります。
Amazonでも、僕たちは同じことをしている
ネットショッピングでもそうです。
同じような商品が二つ並んでいる。
一つはレビューが3件。
もう一つはレビューが3000件。
価格もスペックもほぼ同じ。
さて、あなたはどちらを詳しく見るでしょうか?
僕も普通にレビューを見ます(笑)
しかも、星の数だけじゃなくて、低評価まで見ます。
「何があかんかったんやろ?」って(笑)
面白いですよね。
企業側が「この商品は最高です!」と100回言うより、自分と似た立場の人が「実際に使ってみたら、こうでした」と言っているほうが参考になることがあります。
つまり「何を言っているか」だけではなく「誰が証明しているか」も大切なんです。
セールス文章に必要なのは「主張」ではなく「証拠」
コピーライティングをしていると、クライアントさんから「もっと商品の良さを強く書いてください」と言われることがあります。
でも僕は、強く書くこと以上に「それを証明できるものはありませんか?」と考えます。
たとえば「多くのお客様から支持されています」
これは単なる、売り手側の一方的な主張です。
でも「これまで○○人が利用しました」となれば、数字という証拠が入ります。
たとえば「満足度の高いサービスです」
これも単なる主張です。
でも、実際のお客様の感想が掲載されていれば、第三者の声という証拠になります。
あるいは…
- ビフォー・アフター
- 実績
- 事例
- 具体的な数字
- メディア掲載
- 資格
- 受賞歴
- データ
こうしたものも、主張を支える材料になります。
大切なのは「我々を信じてください」とお願いするのではなく、読者が自分で判断できる材料を渡すことなんです。
「お客様の声」を並べればいいわけではない
ただし、ここで注意があります。
じゃあ「お客様の声をいっぱい載せればいいんですね!」という話でもありません。
僕がよく見るのが…
「最高でした!」
「人生が変わりました!」
「おすすめです!」
という感想がズラッと並んでいるケースです。
もちろん、嘘でなければ悪くありません。
でも、これだけだと読み手は「具体的に何が変わったんだろう?」と思います。
だから僕が重視しているのは、お客様の声の数だけではなく「変化の具体性」です。
たとえば…
「文章を書くのが苦手でしたが、書けるようになりました」
というレビューよりも…
「以前はSNSの1投稿を書くのに2時間かかっていました。今では30分程度で投稿できるようになり、週1回だった発信が週4回になりました」
このレビューのほうが、変化が見えます。
- 数字がある
- 情景がある
- ビフォーとアフターがある
こういった具体的なレビューがあると、読者は「この人にこういう変化があったんだな」と自分で判断できます。
実は「完璧すぎる証拠」は逆効果になることもある
そして、ここが面白いところです。
褒め言葉ばかりを並べると、逆に怪しく見えることがあります。
口コミが全部、星5。
1人残らず全員が…
「最高!」
「人生変わった!」
「欠点ありません!」
だったら、僕ならちょっと警戒します(笑)
「ほんまかいな」って思いますよね。
人間は、あまりにも完璧なものを見ると、かえって不自然さを感じることがあります。
だから、実際のお客様の声を紹介するときも、都合のいい部分だけを切り取るのではなく、できるだけリアルな文脈を残したほうがいいです。
「最初は半信半疑でした」
「途中で一度挫折しました」
「この部分は難しかったです」
でも「こういう変化がありました」
このほうが、人間味があります。
信頼というのは、完璧さから生まれるとは限らないんです。
僕が「23社支援」と書く理由
僕自身もプロフィールなどで、現在、複数の企業のマーケティングやコピーライティングを支援していることを書いています。
これは単なる自慢として書いているわけではありません。
「マーケティングの話をします」と言ったとき、聞いている人からすれば、当然「この人は、どんな立場から話しているんだろう?」という判断材料が必要だからです。
一方で、実績だけを並べても人は動きません。
- 肩書き
- 資格
- 数字
これらは信頼の入口にはなります。
でも、その人が何を考え、どんな失敗をして、何を経験してきたのか。
そこまで伝わって、初めて「この人の話をもう少し聞いてみたい」と思うようになるわけです。
だから僕は、実績と同時に、会社を倒産させたことも、ホームレスになったことも、三日坊主だったことも話します。
成功した話だけではなく、うまくいかなかった事実も含めて、発信しています。
こういったことも、これからの情報発信では大事だと思っています。
AI時代は「証拠」の価値が上がる
そして僕は、AI時代には、この「証拠」という考え方がさらに重要になると思っています。
なぜなら、AIを使えば、それらしい文章はいくらでも作れるからです。
たとえば…
「多くのお客様から絶賛されています」
「劇的な成果を実現します」
「専門家も認める画期的な方法です」
こういった文章だけなら、いくらでも作れます。
だから読み手側も、これからますます「それ、本当?」と感じるようになると思います。
そこで価値を持つのが…
- 実際のお客様の声
- 具体的な事例
- 自分自身の経験
- 現場で起きたこと
- 数字
- データ
- 写真
- 一次情報
などです。
つまり、AIが簡単には作れない「現実との接点」です。
文章力だけではなく「何を証拠として持っているか」が、発信者の強さになっていくと思います。
今日からできる「主張と証拠チェック」
では最後に、今日からできる簡単な実践を一つ紹介します。
自分のプロフィールや、商品の紹介ページ、SNSの固定投稿などを一つ開いてください。
そして、自分が何かを主張している文章を見つけます。
たとえば…
「初心者にもわかりやすいです」
「効果があります」
「多くの方に喜ばれています」
「私は○○が得意です」
何でも構いません。
そして、その主張に対して、次の質問を投げかけてみてください。
「その証拠は?」です。
ちょっと嫌な質問ですね(笑)
でも、これがすごく大事です。
ポイントは、その主張を支える具体的な証拠を提示し、読者が判断できる材料を添えることです。
- 具体例を入れる
- 数字を入れる
- 経験談を入れる
- お客様の声を入れる
- 事例を入れる
この一手間だけで、文章の説得力はかなり変わります。
「信じてください」ではなく「判断してください」
強く主張すればするほど、信じてくれるとは限りません。
大切なのは、その主張を裏付ける証拠を、判断材料としてきちんと提示し、最後は相手に委ねる。
僕はそのほうが、長期的な信頼につながると思っています。
文章は、人を無理やり動かす道具ではありません。
相手が納得して、自分自身で一歩を選べるようにするものです。
そのためには、言葉だけではなく、その言葉を支える「証拠」が必要です。
ここまでの放送で…
- 人間を見る
- 感情を見る
- 最初の入口をつくる
というお話をしてきました。
そして今回は「信じてもらうための証拠を見せる」というお話をしました。
次に文章を書くとき、ぜひ一度、自分の主張に問いかけてみてください。
「で、その証拠は?」
この質問が、あなたの文章を一段強くしてくれると思います。
文章を磨きながら、人を知る。
人を知りながら、自分の言葉を磨く。
「五つ星文章術」
今回は「いいこと言ってるのに、なぜか信じてもらえない」現象の正体というテーマでお話ししました。
最後までお聴きいただきましてありがとうございました。
宮本真愿でした。
それでは、また次回お会いしましょう。


