本記事は、voicyで配信している音声の文字起こしです。音声は以下のリンクからお聴きいただけます。
こんにちは、宮本真愿です。
「五つ星文章術」
前回は、人は「正しい文章」では動かない、というテーマでお話ししました。
正しい情報を並べるだけではなく、相手が何に悩み、何を恐れ、何を望んでいるのか。
そこまで理解して、初めて言葉が相手の心に届き始める。
そんなお話でした。
今日は、さらにその一歩手前のお話をします。
実はですね。
どれだけいい文章を書いても、どれだけ感情を動かす文章を書いても、その前に突破しなければならない壁があります。
それが「そもそも読んでもらえるのか?」という壁です。
今日のテーマは…
あなたの文章は「3秒」で捨てられている。
読者の脳が「読む・読まない」を決める最初の一文
です。
ちょっと怖いタイトルですよね(笑)
でも、情報発信をしている人には、ものすごく大事な話です。
一生懸命書いたからといって、読んでもらえるわけではない
僕たち書き手は、どうしても勘違いしてしまいます。
- 一生懸命書いた文章だから、きっと読んでもらえるだろう
- 2時間かけて書いたから、最後まで読んでもらえるだろう
- ものすごく役立つ内容だから、興味を持ってもらえるだろう
でも、読者からすれば、そんなこと、知ったこっちゃないんですよね(笑)
厳しいですけど。
SNSを想像してみてください。
スマホを開く。
指で、スッ。スッ。スッ。
ものすごいスピードで投稿が流れていきます。
その一つ一つを「この方も一生懸命書かれたんでしょうね。では最初から丁寧に拝読しましょう」なんてやりませんよね(笑)
自分自身もやっているはずです。
興味がなければ、一瞬で飛ばす。
つまり、僕たちは「読者」になった瞬間、ものすごく冷たいんです(笑)
でも「書き手」になった瞬間、ものすごく期待するんです。
「お願い、読んで」と。
ここに大きなギャップがあります。
読者は「読む理由」を探しているわけではない
もう一つ大事なのが、人間の脳は、目の前にあるすべての情報を同じように処理しているわけではないということです。
そんなことをしていたら疲れてしまいます。
街を歩いていても…
- 看板がある
- 人がいる
- 車が走っている
- 音楽が聞こえる
- スマホが鳴る
- 匂いもする
ものすごい量の情報があります。
でも僕たちは、その全部を意識していません。
- 必要そうなもの
- 自分に関係ありそうなもの
- 危険かもしれないもの
- 興味のあるもの
そうした情報に注意が向きます。
文章も同じです。
だから情報発信では「いいことを書けば読んでもらえる」ではなく、まず「これは自分に関係がある」と感じてもらわなければいけません。
たった一言で「自分の話」に変わる
たとえば、次のようなタイトルがあったとします。
「文章を書くときに大切な3つのポイント」
悪くはありません。
内容も想像できます。
でも、少し対象範囲が広いですよね。
では「毎日SNSを投稿しているのに、反応がない人へ」だったらどうでしょう。
毎日投稿している。
でも反応がない。
まさに今、それで悩んでいる人なら「あ、俺や」となるわけです(笑)
この瞬間、ただの「文章」が「自分に関係のある情報」に変わります。
ここが重要です。
コピーライティングでは、文章を書くこと以上に「誰の、どんな瞬間に向けて書いているのか」を明確にすることが大切なんです。
「みなさんへ」は、誰にも届かないことがある
僕も昔は、できるだけ多くの人に届く文章を書こうとしていました。
だから…
「人生を変えたい人へ」
「成功したい人へ」
「もっと成長したい人へ」
みたいな言葉を使っていたんですね。
対象を広くすれば、たくさんの人が反応してくれる気がします。
ところが実際は逆になることがあります。
広げれば広げるほど、誰も「これ、自分のことだ」と思わなくなる。
たとえば…
「40代になって副業を始めたけれど、SNSを開けば自分より若い成功者ばかり。『今から始めて間に合うのかな』と焦っている人へ」
ここまで書くと、対象人数は減ります。
でも、当てはまる人には強烈に刺さります。
「そうやねん。それ俺やねん」となる(笑)
文章というのは不思議で、みんなに向けて書くほど、誰にも届かなくなる。
一人に向けて書くほど、似た人たちにも届いていく、ということがあります。
僕がコピーを書くときに想像していること
僕がクライアントのコピーを書くとき、よく考えることがあります。
それは、その文章を読む人が「どこで、どんな状態で、この文章を読んでいるのか?」ということです。
たとえば、夜11時。
仕事を終えて、ソファに座って、スマホを見ている。
本当は副業を始めたい。
でも今日も何もできなかった。
SNSを見ると「月収100万円達成!」みたいな投稿が流れてくる。
そして心の中で「俺、何やってるんだろう……」と思っている。
ここまで人物が見えてくると、文章が変わります。
「副業で成功する方法を解説します」ではなく「今日も結局、何もできなかった・・・そんな自分を責めながらスマホを見ていませんか?」という書き出しになるかもしれません。
どちらが正しいかではありません。
でも後者のほうが、その人にとって「これは自分の話かもしれない」となりやすいですよね。
最初の一文の仕事は「売ること」ではない
ここで、とても大事な考え方があります。
最初の一文で、商品を売ろうとしなくていいんです。
全部説明しようともしなくていい。
最初の一文の仕事は、もっとシンプルです。
二行目を読んでもらうこと。
そして二行目の仕事は、三行目を読んでもらうこと。
三行目の仕事は、四行目を読んでもらうこと。
こうして読者との小さな「YES」を積み重ねていく。
僕は文章を書くとき、この感覚をすごく大切にしています。
いきなり「買ってください!」ではありません。
まず「ちょっと続きを読んでみようかな」と思ってもらうだけでいいんです。
だからタイトルで「答え」を全部言わなくていい
これはSNSやブログ、メルマガでも同じです。
タイトルで全部説明してしまう人がいます。
真面目な人ほどやりがちです。
誤解されないように、ちゃんと内容がわかるように全部書く。
すると、タイトルを読んだ時点で「ああ、そういう話ね」で終わってしまうことがあります。
だから、ときには「続きが気になる余白」を残す。
たとえば「売れる文章を書く5つの方法」より「文章がうまいのに、なぜか売れない人の共通点」のほうが「何だろう?」と思う人もいるでしょう。
人間には、わからないものの続きを知りたくなる性質があります。
ただし、ここで注意があります。
興味を引きたいからといって、内容と関係のない刺激的なタイトルをつける。
これは僕はおすすめしません。
いわゆる…
「衝撃の事実!」
「知らないとヤバい!」
みたいな、釣りタイトルというやつです(笑)
クリックされたとしても、中身が伴っていなければ、信頼を失います。
文章で一番大切なのは、一回クリックさせることではありません。
「この人の文章なら、また読みたい」と思ってもらうことです。
AI時代には「書く力」だけでなく「切り取る力」が重要になる
そして、ここでもAIの話につながります。
- AIは長い文章を書くことができます
- 説明もできます
- アイデアも出せます
でも情報が大量に生まれる時代になればなるほど、書き手に必要になるのは、ただ文章量を増やす能力ではなく「どこを切り取れば、人が振り向くのか?」を考える力です。
同じテーマでも、切り口によって全然違います。
「継続する方法」なのか。
「三日坊主になる人が最初に間違えていること」なのか。
「毎日投稿しなくても発信は続けられる」なのか。
テーマは似ていても、入口が違う。
僕はこれから、AIによって文章そのものが大量生産されるほど、切り口の価値が上がると思っています。
今日からできる「3秒チェック」
では最後に、今日からできる簡単な実践を一つ紹介します。
文章を書き終えたら、本文を読み返す前に、タイトルと最初の一文だけを見てください。
そして、自分に問いかけます。
「もし自分がこのテーマにそれほど興味のない人だったとしても、続きを読みたくなるだろうか?」
さらにもう一つ。
「誰に向けた文章なのか、最初の数秒でわかるだろうか?」
この2つです。
もし弱いと思ったら、本文を直す前に、入口を直してみてください。
- タイトル
- 最初の一文
- 問題提起
この入口だけで、同じ本文でも読まれ方が変わることがあります。
読まれなければ、存在しないのと同じ
少し厳しい言い方になりますが、どれだけ素晴らしい文章でも、読まれなければ、読者にとっては存在していないのと同じです。
だから「いい文章を書く」だけでは足りません。
「読み始めてもらう文章を書く」ことも必要です。
そして、そのために大切なのは、奇抜な言葉を使うことでも、煽ることでもありません。
目の前にいる人を理解して「これは、あなたの話ですよ」と入口で伝えてあげることです。
前々回は、文章を書く前に、人間を見る。
前回は、人間の感情を見る。
そして今回は、その人の脳が「これは自分に関係がある」と感じる入口をつくるというお話をしました。
この3つは全部つながっています。
文章は、書き手が言いたいことから始まるのではなく、読み手が今、感じていることから始まる。
僕はそう思っています。
次に文章を書くとき、ぜひタイトルと最初の一文に、いつもより少しだけ時間を使ってみてください。
その数行が、残りの何千文字を読んでもらえるかどうかを左右するかもしれません。
文章を磨きながら、人を知る。
人を知りながら、自分の言葉を磨く。
「五つ星文章術」今回は「あなたの文章は『3秒』で捨てられている」というテーマでお話ししました。
最後までお聞きいただきまして、ありがとうございました。
宮本真愿でした。
それでは、また次回お会いしましょう。


