AI時代に「あなたにしか書けない文章」が生まれる場所
30年以上、本を読み、学び続けてきた僕が、ホームレスになって初めて「言葉は、知っているだけでは人を救わない」と知りました。
33歳で会社を倒産させるまでの僕は、決して何も学んでいなかったわけではありません。
むしろ逆です。
「言葉」はたくさん知っていました。
- 成功哲学
- 自己啓発
- コピーライティング
- マーケティング
- 心理学
- 能力開発
いろいろな本を読み、セミナーにも参加し、たくさんの言葉をノートに書き留めてきました。
「思考は現実化する」
「失敗は成功への過程である」
「ピンチはチャンス」
「諦めなければ道は開ける」
いい言葉を、たくさん知っていました。
ところが、人生最大のピンチが来たとき、その言葉の多くが、僕の中から消えました。
「ピンチはチャンス」なんて思えなかった
- 会社が倒産した
- 離婚した
- 4人の子どもたちと離れた
- 住む場所まで失った
- ホームレスになった
そんな状況で「ピンチはチャンス!」なんて、僕にはとても思えませんでした。
「いやいや、どこがチャンスやねん」です(笑)
本で読んでいたときは、なるほどと思っていた。
ノートにも書いていた。
人に説明することだってできた。
でも、自分の人生が本当に壊れた瞬間、その言葉を活かすことはできなかったのです。
「知っている」と「自分の言葉になっている」は違う
あの経験から、僕は言葉について考えるようになりました。
同じ言葉でも、頭で理解しているだけの言葉と、自分の人生を通った言葉は、まったく違う。
たとえば「失敗しても、またやり直せる」という言葉。
昔の僕なら、成功哲学として説明できました。
今の僕なら、少し違います。
- 会社を潰した
- 家族と離れた
- 住む場所までなくした
それでも、小さな仕事を一つずつ積み上げ、約2年かけて社会復帰した。
だから今「人はやり直せる」と書くとき、僕の中には、あの頃の景色が一緒にあります。
同じ一文でも、もう意味が違うんです。
だから、名言を並べるだけの文章に違和感がある
SNSを見ていると、素敵な言葉がたくさん流れてきます。
「自分を信じよう」
「挑戦しよう」
「失敗を恐れるな」
「継続すれば人生は変わる」
全部、正しいと思います。
僕も似たことを書くことがあります。
でも、正しい言葉ほど、そのまま書くのが難しい。
なぜなら、正しい言葉は、すでに誰かが何千回も言っているからです。
「継続が大切です」だけなら、僕でなくても書ける。
AIなら3秒です(笑)
「なぜ、あなたがそれを言うのか?」
だから僕は、文章を書くとき、一つの問いを大切にしています。
「なぜ、僕がこれを言うのか?」
たとえば「言葉は人生を変える」と言うなら、なぜ僕がそう思うのか。
ホームレスになったとき、メンターである神田昌典氏から「焼け野原に立たされたとしても、翌日には紙とペンだけで稼ぎ始める力」という言葉を授かった。
そして僕は、本当に何もないところから、言葉を武器に仕事をつくり直していった。
そこまで書いて初めて「言葉は人生を変える」が、誰かから借りた名言ではなく、自分の言葉になるのです。
文章のオリジナリティは「新しいことを言う」ことではない
「オリジナルな発信をしましょう」と言われると、まだ誰も言っていないことを探そうとする人がいます。
でも、そんなものを毎日探していたら大変です。
人類はだいぶ長く生きていますから(笑)
僕は、オリジナリティとは、必ずしも、世界初の主張をすることではないと思っています。
- 「継続は大切」でもいい
- 「失敗から学ぼう」でもいい
- 「お客様目線で考えよう」でもいい
ただ、そこに…
- あなたは何を経験したのか
- なぜ、そう考えるようになったのか
- 昔はどう考えていたのか
- 何に失敗したのか
を通す。
同じテーマでも、そこを通れば、文章はその人のものになります。
僕がクライアントに「エピソード」を聞く理由
これは、23社のマーケティング支援や、誰かの電子書籍・文章をつくるときも同じです。
「あなたの強みは何ですか?」だけではなく「それに気づいた出来事は?」と聞く。
「お客様を大切にしています」と言われたら「そう思うようになった出来事はありますか?」と聞く。
すると、急に話が変わることがあります。
- 昔、お客様から言われた一言
- 初めて商品が売れた日のこと
- 大失敗した案件
- 忘れられないクレーム
- 救われた言葉
そこに、その人にしか書けない文章の原石が眠っています。
「主張」より「証拠」を書く
たとえば「僕はお客様を大切にしています」と100回書くより、お客様との忘れられない出来事を一つ書いたほうが、伝わることがあります。
「僕は努力家です」と言うより、誰も見ていないところで何を続けてきたかを書く。
「失敗から学ぶことが大切です」と言うより、自分が失敗したとき、何を間違え、何を変えたかを書く。
つまり、自分を説明するのではなく、自分が見える場面を書く。
読者に「この人は誠実です」と書くのではなく、読者自身に「この人、誠実な人なんだろうな」と感じてもらう。
文章は、そのほうが強いのです。
AI時代は「何を書くか」より「何を通して書くか」
これから、文章を書く技術そのものは、どんどん民主化していくと思います。
AIに頼めば…
- 構成もできる
- タイトルも作れる
- 読みやすくもできる
- 誤字脱字も直せる
だから「きれいな文章を書ける」だけでは、差別化しにくくなる。
でも、AIが持っていないものがあります。
それは「あなたが生きてきた時間」です。
- 失敗した夜
- 悔しかった朝
- 誰かに救われた一言
- 初めてお客様からお金をいただいた瞬間
- 辞めようと思った日
- それでも続けた理由
それらを通して「僕はこう思う」と書く。
だからこれからは「何を書くか」だけではなく「何を通して書くか」が、ますます重要になると思っています。
昔の僕に「失敗は財産」と言っても届かなかった
ホームレスだった頃の僕に、誰かが「失敗は財産ですよ」と言っても、たぶん素直には受け取れなかったと思います。
「ほな、この財産いくらで売れるん?」くらい思ったかもしれません(笑)
でも今なら、少しだけわかります。
失敗そのものが財産なのではない。
失敗から何を持ち帰り、それを誰かに渡せる言葉にできたとき、初めて財産になる。
会社倒産も、離婚も、ホームレスも、僕にとって今でも「良い出来事」ではありません。
美談にするつもりもありません。
でも、そこで見たこと。感じたこと。学んだこと。
それを言葉にして、今苦しんでいる誰かへ渡すことはできる。
そう考えると、人生には、まだ文章になっていないものが、たくさん眠っています。
あなたの人生にも「まだ書いていない一行」がある
今日、何か発信しようとして「書くことがない」と思ったら、新しいノウハウを探す前に、少しだけ自分の過去を振り返ってみてください。
- 昔は信じていたけれど今は考えが変わったこと。
- 失敗して初めてわかったこと。
- 誰かの一言で救われたこと。
- 二度とやりたくないと思ったこと。
- それでも続けていること。
そこから、一つだけ選ぶ。
そして「この経験から、自分は何を言えるだろう?」と考えてみる。
それが、あなたにしか書けない文章の始まりかもしれません。
僕は30年以上、言葉を学んできました。
でも、本当に自分を支えてくれる言葉は、本の中で覚えた言葉だけではありませんでした。
自分の人生を通って、ようやく意味がわかった言葉。
それが今、僕の文章の芯になっています。
あなたが今まで「知っている」と思っていた言葉の中に、人生を経験した今だからこそ、初めて自分の言葉として書けるものはありませんか?


