過去へ戻れない僕が見つけた「ここから人生を選び直す」という生き方
ホームレスから約2年で経営者に戻りました。
でも「元の人生」には戻れませんでした。
僕の経歴だけを見ると、こんなふうに紹介されることがあります。
- 会社倒産
- 離婚
- 4人の子どもたちとの別離
- 住む場所を失い、33歳でホームレス
- そこから約2年で、経営者として再起
こうやって並べると、なんだか「どん底からの大逆転ストーリー」に見えます。
確かに、間違いではありません。
仕事は取り戻しました。
生活も立て直しました。
もう一度、自分で人生を歩けるところまで戻ってきました。
でも、一つだけ、どうしても違和感があるんです。
それは…
僕は「元に戻った」わけではなかったということです。
再起すれば、全部取り戻せると思っていた
どん底にいた頃の僕は「取り戻したい」という気持ちが強かったと思います。
- 仕事を取り戻したい
- 生活を取り戻したい
- 自信を取り戻したい
- 以前の自分に戻りたい
だから、一歩ずつ動きました。
できることから仕事をして、少しずつ生活を立て直していった。
そして、ありがたいことに、約2年で経営者として再起することができました。
普通なら、ここで映画だったら、朝日をバックに音楽が流れて「そして彼は、すべてを取り戻した…」でエンドロールです(笑)
でも、現実の人生は、そうきれいには終わりません。
取り戻せないものもある
- 失ったお金は、また稼げるかもしれません
- 失った仕事も、もう一度つくれるかもしれません
- 住む場所も、また持てる
- 肩書きも、つくり直せる
でも、時間だけは、戻りません。
そして、人生には「頑張れば元通りになる」とは言えないものがあります。
だから僕は、再起したあと、少しずつ気づきました。
人生を立て直すとは、失ったものを全部取り戻すことではない。
これは、僕にとって、かなり大きな気づきでした。
「元の自分」を目指すのをやめた
人は何かを失うと「あの頃に戻りたい」と思います。
僕もそうでした。
- 会社があった頃
- 家庭があった頃
- 住む場所があった頃
- 人生が崩れる前の自分
そこへ戻れたら、人生は修復できる。
そんな感覚が、どこかにありました。
でも、あるとき思ったんです。
「もう、戻らんでもええんちゃうか」と。
昔と同じ人生を、もう一度つくる必要はない。
昔の自分に、戻る必要もない。
だって、あの経験をした時点で、僕はもう、あの頃の僕とは違うからです。
「再起」という言葉の意味が変わった
以前の僕にとって、再起とは、マイナスからゼロへ戻ることだったのかもしれません。
失ったものを取り戻して、以前の場所へ帰る。
でも今は、少し違います。
僕にとって再起とは「元に戻ること」ではなく「ここからもう一度選び直すこと」です。
- 過去を消すことではない
- 失敗をなかったことにすることでもない
- 失ったものを、無理やり全部取り返すことでもない
今、自分の手元にあるものを見て「じゃあ、ここからどう生きよう?」と選び直す。
それが、僕にとっての再起になりました。
人生は「セーブデータ」からやり直せない
ゲームなら、失敗したら、セーブポイントまで戻れます。
「あ、この選択肢ミスった」となったら、ロードしてやり直す(笑)
でも、人生には、ロードボタンがありません。
33歳に戻って、会社が倒産する前から、もう一度やり直すことはできない。
だったら、僕たちにできるのは、過去を書き換えることではなく、過去の続きを、どう書くかを選ぶことだと思うんです。
失敗した過去は「消すもの」ではなくなった
昔の僕なら、ホームレスになった経験なんて、できれば人に知られたくなかったと思います。
成功とは、失敗を見せないこと。強い自分を見せること。
そんな感覚も、どこかにありました。
でも今は…
- 会社が倒産したことも
- 人生が崩れたことも
- 三日坊主だったことも
- 弱かった自分も…
全部、僕の人生の一部です。
もちろん、失敗を誇る必要はありません。
苦労した人のほうが偉い、とも思いません。
ただ、なかったことにしなくていい。
そう思えるようになりました。
傷が消えたから、前へ進めたわけではない
「乗り越える」という言葉があります。
僕も使います。
でも、人生には、完全に消えるわけではないものもあると思っています。
- 忘れないこと
- 思い出すこと
- あのとき、こうしていればと思うこと
それでも、人は前へ進める。
傷が全部なくなってから、人生を再開する必要はありません。
僕自身、すべてがきれいに解決したから、再起できたわけではありません。
抱えたままでも、今日できることをやった。
その積み重ねでした。
「立ち直る」の基準を高くしすぎない
何かに挫折すると、僕たちは、完全復活を目指しがちです。
- 以前のように元気になる
- 以前のように働く
- 以前のように笑う
- 以前と同じ成果を出す
でも、それを基準にすると、なかなか「立ち直った」と思えません。
僕は、もっと小さくていいと思っています。
- 昨日より、少し眠れた
- 今日は、一つ仕事ができた
- 久しぶりに、人と話せた
- また、やってみようと思えた
それも、立派な再起です。
七回転んでも「八回目」を選べる
僕が今、大切にしている考え方があります。
人生は、一度立ち直ったら、もう二度と転ばないゲームではありません。
- また失敗することもある
- また止まることもある
- また迷うこともある
僕だって、今でもあります。
だから、目指したいのは「転ばない人」ではありません。
転んだあと、自分で整え直して、また立ち上がれる人。
僕は、そんな人を「七転び八起き人(ななころび・やおきびと)」と呼んでいます。
ちょっと長いですけど(笑)
でも、僕が増やしたいのは、まさにそんな人です。
人生の強さは「無傷」であることではない
強い人というと…
- 何があっても動じない
- 失敗しない
- 落ち込まない
- いつも前向き
そんなイメージがあります。
でも、僕が自分の人生から学んだ強さは、少し違いました。
- 落ち込んでもいい
- 止まってもいい
- 迷ってもいい
- 転んでもいい
ただ「もう一度、自分を整え直せる」こと。
それが、人生を長く歩いていくうえでは、とても大きな力になると思っています。
あの頃の僕には戻れない。でも、それでいい
僕は、33歳より前の人生には戻れません。
失った時間も、なかったことにはできません。
でも、今は、それでいいと思っています。
戻るのではなく、ここから進めばいい。
過去の自分を取り戻すのではなく、これからの自分をつくればいい。
人生は、壊れたら終わりではありません。
でも、壊れる前とまったく同じ形に、修復する必要もない。
割れた場所も、傷も、遠回りも含めて、ここから、もう一度つくり直せる。
もし今「あの頃に戻りたい」と思っている人がいたら、僕は、こう伝えたいです。
無理に、戻らなくてもいい。
過去を取り戻すことだけが、再起ではありません。
人生は、過去へ戻ることはできない。
でも、今日から先は、何度でも選び直せる。
僕は、ホームレスから再起して、ようやくそれを知りました。
人生で大切なのは、一度も転ばないことではない。
転んだ場所から、また自分を整え、次の一歩を選べること。
だから、もし今、あなたが人生の途中で止まっているなら…
「元に戻れるか?」ではなく、こう聞いてみてください。
「ここから、どんな人生をつくろう?」
人生は巻き戻せません。
でも、続きを描くことはできます。


