AI時代に文章の差を生むのは「書く力」ではない
AIに文章を丸投げするほど、あなたの文章は「誰が書いても同じ文章」になっていきます。
これは「AIを使うな」という話ではありません
むしろ僕は、生成AIをかなり使います。
- アイデア出し
- 構成
- リサーチの補助
- 別角度からの切り口
- 推敲
- タイトル案
- 壁打ち
今では、コピーライターにとって非常に優秀な相棒だと思っています。
昔の僕が見たら「こんなん反則やろ」と言ったはずです(笑)
でも、便利だからこそ、最近ますます感じることがあります。
AIに任せる場所を間違えると、文章はどんどん「平均点」へ近づいていきます。
たとえば、こんな指示を出していませんか?
「起業家向けにSNS投稿を書いて」
「読者の心に刺さる文章にして」
「共感される文章を書いて」
「プロのコピーライターのように書いて」
これでも、AIは文章を書いてくれます。
しかも…
- それなりに上手い
- 読みやすい
- 構成も整っている
- 誤字も少ない
でも読んでみると、なんとなく「どこかで見たことあるな…」となるわけです。
ここは重要です。
AIの能力が低いから、平均的な文章になるわけではありません。
むしろ逆です。
渡された情報から、ものすごい速度で「もっともらしい答え」を作ってくれます。
問題は、こちらが「平均的な材料」しか渡していないことなんです。
「起業家向け」
「共感される」
「刺さる文章」
これだけでは、あなたが何者なのか、AIにはわかりません。
高級レストランの料理人に「何か美味しいもの作って」と頼むようなもの
優秀な料理人なら、美味しいものは作ってくれるでしょう。
でも、あなたが本当に食べたかった料理になるかは、わかりません。
文章も同じです。
AIへ「いい文章を書いて」と頼む前に、材料を渡す。
ここが重要になります。
僕なら「5つの素材」を先に渡す
たとえばSNS投稿なら、少なくとも、この5つを考えます。
1. 誰に書くのか
ターゲットが「起業家」では広すぎます。
たとえば「起業して3年。SNSを毎日更新しているのに商品への問い合わせにつながらず、文章に自信をなくしている40代の経営者」
ここまで行くと、景色が変わります。
2. その人は今、何に困っているのか
「集客に困っている」だけではなく「毎朝投稿しているのに、いいねは付く。でも問い合わせは来ない。何を書けば売上につながるのかわからない」
ここまで具体化する。
3. 自分は何を言いたいのか
一般論ではなく、自分の主張です。
たとえば「投稿数を増やす前に、誰を動かしたい文章なのかを決めたほうがいい」
ここに、書き手の思想が出ます。
4. 自分の体験・一次情報
ここが、かなり重要です。
「23社を支援していて、反応が悪い文章には○○という共通点があった」
「僕自身、昔は○○と勘違いしていた」
「実際に原稿から○○を削ったら、こう変わった」
AIが最初から持っていない材料です。
5. 読後、何をしてほしいのか
- 考えてほしい
- 保存してほしい
- 自分の文章を見直してほしい
- 商品を知ってほしい
目的によって、文章の着地は変わります。
AI時代の差は「プロンプト」だけではつかない
もちろん、プロンプト技術は大切です。
指示の仕方で、出力はかなり変わります。
でも僕は、それ以上に「AIへ渡す前に、人間側で何を考えたか」が重要になると思っています。
最高のプロンプトを持っていても、中に入れる材料が一般論だけなら、出てくる文章も、一般論になりやすいのです。
「AIっぽい文章」の正体
AI文章を読んで「なんかAIっぽいな」と感じることがあります。
僕は、必ずしも文章表現だけの問題ではないと思っています。
「結論から言うと」
「重要なのは○○です」
「○○していきましょう」
こういう言い回しを消せば、AI臭がなくなる、という単純な話でもありません。
もっと根本にあるのは、具体的な「その人」が見えないことです。
- 誰が言っているのか
- なぜそう思うのか
- 何を経験したのか
- 何に失敗したのか
- どんな場面を見たのか
これがないんです。
だから、文章は整っているのに、体温が感じられないんです。
前回書いた「自分を通った言葉」と同じです
先日「知っている言葉」と「自分を通った言葉」は違う、という話を書きました。
AI時代は、これがさらに重要になると思っています。
知識なら、AIは大量に持っています。
一般的なノウハウなら、AIはすぐまとめられる。
だから人間側が、AIと知識量で競争しても仕方ありません。
必要なのは…
「僕は、こう経験した」
「僕は、こう考える」
「現場では、こうだった」
という材料です。
AIに「体験」を捏造させない
ここは、僕がかなり大切にしているところです。
AIに「説得力が出るように体験談も入れて」とだけ指示すると、もっともらしいエピソードを作ることがあります。
でも、それを自分の経験として使ったら、文章として上手くても、自分の言葉ではありません。
だから、体験は人間が渡す。
AIには、その体験を、読み手へ届きやすい形に整えてもらう。
この役割分担です。
「書く人」から「編集長」へ
僕は、生成AIが普及すると、文章を書く人の役割が少し変わると思っています。
全部自分でゼロから書く「作家」のような役割だけではない。
- AIに素材を渡す
- 案を出させる
- 比較する
- 違和感を見つける
- 削る
- 足す
そして、最後に「これは僕の言葉として出していい」と決める。
つまりAIは、自分の文章の「編集長」になるのです。
だから「最初の出力」をそのまま投稿しない
僕なら、AIから文章が出てきても、そこで完成とは考えません。
まず「これ、本当に僕が言いそうか?」を見る。
次に「一般論になっていないか?」を見る。
さらに…
「具体的な場面はあるか?」
「自分の経験は入っているか?」
「余計なきれいごとはないか?」
「一番言いたいことは何か?」
を確認する。
そして、削ったり、書き足したりする。
AIが90点の文章を出してきても、自分の文章としては50点ということがあります。
上手い文章と「あなたの文章」は違う
ここを混同しないほうがいいです。
AIは、上手い文章を作れます。
でも、あなたの文章にするには、あなたが必要です。
- 33歳ですべてを失った経験
- 23社の現場で見てきたこと
- 無口だった自分が言葉を仕事にしたこと
僕の場合、こういう素材をAIが勝手に生きることはできません。
人生の取材担当は、僕しかいない。
これは、あなたも同じです。
AI時代に「文章力」の定義が変わる
これからの文章力は、単に…
- 語彙が豊富
- 文章がきれい
- タイピングが速い
という能力だけではなくなると思っています。
僕なら、次のような力も含めたいです。
- 観察する力
- 体験を拾う力
- 問いを立てる力
- 相手を想像する力
- AIの案から選ぶ力
- 違和感を見抜く力
- 最後に自分で責任を持つ力
つまり、AIが書けるようになるほど、人間には「書く前」と「書いた後」の力が求められるわけです。
今日、AIへ指示する前に30秒だけやってほしい
次にAIで文章を書くとき、いきなり「投稿を書いて」と入力する前に、次の5つだけメモしてみてください。
- 誰に?
- 何に困っている?
- 私は何を言いたい?
- 私にしかない体験・事実は?
- 読後、何をしてほしい?
たったこれだけでも、出てくる文章は変わります。
そして、AIから返ってきたら、最後に一つだけ聞く。
「この文章から、私という存在を消しても成立してしまわないか?」
もし、名前を誰かに入れ替えても、そのまま成立するなら、まだ平均点かもしれません。
AIを使わないことが、オリジナリティではありません。
むしろ僕は、どんどん使えばいいと思っています。
ただし、AIに文章を書かせても、人生まで代筆させない。
- あなたの経験
- あなたの失敗
- あなたの違和感
- あなたの意見
そこまで丸投げしない。
AI時代に必要なのは「AIより上手く書く力」ではなく、AIには持てない材料を、自分の中から持ってくる力だと僕は思っています。
あなたが今日AIに渡そうとしている文章の中に「あなたにしか渡せない材料」は、何が入っていますか?


