23社の現場で学んだ「売り手に刺さる言葉」と「お客様が動く言葉」の違い
クライアントから「このコピー、めちゃくちゃ刺さります!」と言われたとき、僕は一度疑います。
「そこ喜ぶところじゃないの?」と思われるかもしれませんが(笑)
現在、僕は23社のマーケティングやコピーライティングに関わっています。
- LP
- 広告
- メルマガ
- SNS
いろいろなコピーを作ります。
当然、提案したコピーをクライアントから「宮本さん、これいいですね!」と言ってもらえたら嬉しい。
「めちゃくちゃ刺さりました!」なんて言われたら、コピーライター冥利に尽きます。
でも同時に、僕の頭の中では、小さな警報が鳴ります。
「待てよ。誰に刺さったんだ?」と。
社長に刺さるコピーと、お客様に刺さるコピーは違う
ここを間違えると、マーケティングでは結構危険です。
なぜなら、そのコピーを買うのは、社長ではないからです。
たとえば、挑戦することが大好きな経営者がいたとします。
そんな社長に「常識を壊せ。次のステージへ」と提案すると「宮本さん、これですよ!」となるかもしれません。
でも、その会社のお客様が、慎重で、失敗を避けたくて、安心できる会社を探している人だったら?
「常識を壊せ」を見た瞬間「いや、壊さんでええねん…」となるかもしれない(笑)
売り手には最高のコピー。
買い手には怖いコピー。
普通に起こります。
コピー会議には「見えない一人」がいる
クライアントと文章を考えていると、その場には、僕と、経営者と、担当者がいます。
でも、本当はもう一人います。
お客様です。
もちろん、会議室にはいません。
Zoomにも映っていません。
でも、コピーを最終的に評価するのは、その「いない人」です。
だから、会議で全員一致で「これ最高ですね!」となったとしても、安心できない。
むしろ、僕は聞きます。
「で、お客様はどう感じますかね?」と。
「社内で評判がいい」は、売れる根拠ではない
これも現場でよくあります。
「社員から評判がいいです」
「営業チームも、このコピーが好きです」
「社長が一発OKでした」
もちろん、悪いことではありません。
- ブランドとして違和感がないか
- 会社らしい言葉になっているか
- 社内の評価も重要
でも、マーケティングのコピーなら、最後に見るべきものは、市場の反応です。
- クリックされたか
- 読まれたか
- 問い合わせにつながったか
- 申し込みが入ったか
- お客様がどんな言葉を返してきたか
社内会議で拍手喝采だったコピーが、市場では静まり返ることもあります(笑)
逆に、社長が気に入らないコピーが当たることもある
反対もあります。
経営者から「うーん……ちょっと普通じゃないですか?」と言われるコピー。
- 派手ではない
- 格好よくない
- 業界のプロから見れば、当たり前に見える
でも、お客様には反応される。
なぜか。
お客様は、その業界のプロではないからです。
売り手にとって「そんなの常識でしょう」と思うことが、お客様には「それが知りたかった!」だったりします。
プロほど「当たり前」を過小評価する
これは23社を見ていて、かなり感じることです。
専門家は、知識を持ちすぎています。
- 毎日その商品を考えている
- 毎日その業界にいる
- 専門用語も知っている
- 競合も見ている
だから、少しずつ、初心者だった頃の感覚を忘れる。
たとえば、専門家に「こんな基本的なことを書いてもいいんですか?」と聞かれることがあります。
僕は「むしろ、そこを詳しく聞きたいです」と言うことがあります。
なぜなら、その「基本」が、お客様にとって最大の疑問かもしれないからです。
僕が社長の言葉より「お客様の言葉」を拾う理由
コピーを作るとき、僕が欲しいのは、きれいなマーケティング用語だけではありません。
むしろ、お客様が実際に使った言葉が欲しい。
- 問い合わせ
- アンケート
- レビュー
- 営業現場で聞いた質問
- 購入前の相談
- 断った理由
- クレーム
そこには、お客様の「生の言葉」があります。
たとえば、会社側が「業務効率化」と言っている。
でもお客様は「毎晩、残業するのをやめたい」と言っている。
会社側が「収益性改善」と言っている。
でも経営者は「月末に通帳を見るのが怖くない会社にしたい」と言っている。
僕なら、後者を大切にします。
なぜなら、人は自分の頭の中にある言葉に反応するから
コピーを読んだ瞬間「これ、自分のことだ」と思ってもらうには、読者が普段、自分の頭の中で使っている言葉に近いほうが強いです。
だから、専門家が考えた美しい言葉より、お客様がポロッと言った、少し不格好な一言のほうが、コピーとして強いことがあります。
これは、コピーライターが机の前で100本考えても、なかなか出てきません。
これはAIを使っても同じです。
だから現場の声は、ものすごく価値があるのです。
前回紹介した「個性学」は、ここでも効いてくる
前回の投稿では、同じ商品でも、安心を求める人と、挑戦を求める人では、刺さる言葉が違う、という話を書きました。
現場では、これをさらに考えます。
「経営者は、どのタイプなのか?」
「お客様は、どのタイプなのか?」
この二つを分ける。
経営者が挑戦型で、お客様が安心型なら、売り手の感覚だけでコピーを作ると、ズレる可能性があります。
逆も同じです。
ここで「自分なら買う」を基準にしてはいけないのです。
「自分なら買う」は、マーケティングでは危険な言葉
商品会議で「僕ならこれを買います」「私はこっちのデザインが好きです」という意見が出ることがあります。
もちろん、一つの意見としては使えます。
でも、そこで必ず確認したいことがあります。
それは「あなたは、本当にターゲットと同じ人ですか?」ということ。
- 年齢が同じ
- 性別が同じ
- 職業が同じ
それだけでは足りません。
- 何を怖がっているか
- 何を優先するか
- 何をきっかけに決断するか
ここまで同じとは限らないからです。
だから「好み」ではなく「仮説」にする
僕は、コピーを「好き・嫌い」だけで決めたくありません。
「このコピーが好き」ではなく「なぜ、このコピーならこのお客様が反応すると考えるのか?」まで言葉にする。
たとえば「この層は初めて高額商品を買う人が多い。
だから『挑戦』より『一歩ずつ』『サポート』『迷わない』を前面に出したほうが不安を減らせるのではないか」と、ここまで考えます。
すると、単なる好みが、マーケティングの仮説になるのです。
そして最後は「市場に聞く」
どれだけ考えても、僕らは読者本人にはなれません。
だから最後は…
- 市場へ出す
- AとBを試す
- 数字を見る
- 反応を見る
- 問い合わせ内容を見る
- そして、仮説を修正する
コピーライターの仕事は「絶対に当たる言葉を神のお告げのように降ろすこと」ではありません(笑)
仮説を立て、言葉にし、市場から答えをもらうことです。
社長が喜ぶコピーより、お客様が動くコピー
もちろん、クライアントには喜んでもらいたい。
これは本当です。
「宮本さん、この文章好きです」と言われたら、普通に嬉しい(笑)
でも、その先にいる人を忘れない。
社長が気持ちよくなるためのコピーではなく、お客様が「これ、自分のための商品かもしれない」と判断できるコピーを書く。
だから、クライアントから「めちゃくちゃ刺さります!」と言われたら、僕は嬉しく思いながら、心の中でもう一度聞きます。
「ところで、誰に刺さった?」
あなたが今「これは絶対にいいコピーだ」と思っているその言葉…
それは、あなた自身に刺さっているだけではありませんか?


