23社の原稿を見てわかった。「魅力を増やす」より「一番欲しい未来」を深く掘る文章術
商品のメリットを10個並べた原稿を、僕は「1個」に絞ることがあります。
現在、僕は23社のマーケティングやコピーライティングに関わっています。
LP、メルマガ、広告、SNS、電子書籍……
いろいろな原稿を見ますが、商品に自信がある人ほど、あることをやりがちです。
メリットを全部書く。
「これもできます」
「あれもできます」
「こんな効果もあります」
「さらに、これも……」
売り手からすると当然なんです。
せっかく10個も魅力があるなら、10個全部伝えたほうが、そのうちの1つでも相手に刺されば売れそうですから。
でも、原稿を読んでいる僕は、ときどき思います。
「結局、一番すごいのはどれですか?」と。
10個のメリットが、全部「脇役」になる
たとえば、あるサービスに…
- 時間を短縮できる
- 売上アップにつながる
- 集客できる
- 作業がラクになる
- 初心者でもできる
- 継続しやすい
- 専門知識が身につく
…と、たくさんのメリットがあるとします。
全部本当なら、もちろん素晴らしい。
でも、全部を同じ強さで並べると、どれが一番重要なのかわからなくなる。
主役が7人いる映画みたいなものです。
豪華キャストなのに、見終わったあと「で、主人公は誰やったん?」となる(笑)
僕は「一番欲しい未来」を探す
だから原稿を見るとき、メリットを足す前に、クライアントへ聞くことがあります。
「お客様は、この商品を買って最終的にどうなりたいんですか?」
ここで「売上も上がりますし、時間も増えて…」と商品側の話へ戻ったら、もう一度聞きます。
そうではなく、お客様が一番欲しい未来は何ですか?と。
すると少しずつ、表面的なメリットの奥にあるものが見えてきます。
「売上アップ」が、本当に欲しいものとは限らない
たとえば「売上を増やしたい」という経営者がいたとします。
でも、なぜ売上を増やしたいのでしょう。
- 社員の給与を上げたいのかもしれない
- 家族を安心させたいのかもしれない
- 広告費を気にせず使える会社にしたいのかもしれない
- 毎月の資金繰りに胃を痛める生活から抜け出したいのかもしれない
「売上アップ」は、まだ途中なんです。
だから、僕はさらに「それが実現したら、何が変わります?」と聞きます。
コピーライターは、ときどき「なぜなぜ星人」になる
「売上が上がります」
→ それで?
「利益が残ります」
→ それで?
「経営が安定します」
→ それで?
「毎月、資金繰りの心配をしなくて済みます」
ここまで来ると、急に人間の顔が見えてきます。
数字の話だったものが「夜、安心して眠れる」という生活の話になる。
少々しつこいですが(笑)、コピーライターは、ときどき「なぜなぜ星人」になる必要があります。
特徴 → メリット → ベネフィット → 感情
僕が文章を考えるとき、こんなふうに掘っていくことがあります。
たとえば…
<特徴>
AIで文章作成を効率化できます。
↓
<メリット>
投稿作成の時間を短縮できます。
↓
<ベネフィット>
毎日2時間かかっていた発信を、30分で終えられます。
↓
<感情>
今日も投稿しなきゃ…と、夜まで仕事に追われる感覚から解放される。
同じ商品について話しています。
でも、下へ行くほど、商品から「人間の生活」に近づいていく。
僕が欲しいのは、ここなんです。
だから、メリットを「増やす」より「掘る」
文章が弱いと感じると、つい情報を足したくなります。
- メリットを追加する
- 実績を追加する
- 特典を追加する
- 説明を追加する
でも現場では、逆をやることがあります。
10個のメリットを並べるのをやめて、その中で一番重要な1個を選ぶ。
そして、縦に掘る。
「それによって?」
「だから?」
「その結果?」
「どんな気持ちになる?」
横へ10個並べるのではなく、一つを深く掘る。
すると、商品の説明だった文章が、読者の人生の話へ変わっていきます。
「損失回避」も、ここにつながる
先日の投稿では「得られる未来」だけでなく「このまま何もしなかったら何を失うか」を考えるという話を書きました。
これも同じです。
たとえば「発信時間を90分短縮できます」だけならメリット。
でも、毎日90分なら、1か月で約45時間、1年なら約540時間。
その時間を…
- 家族と過ごせたかもしれない
- 新しい商品を作れたかもしれない
- 休めたかもしれない
- 読書できたかもしれない
そう考えると「90分短縮」という数字の奥に、その人が取り戻せる人生の時間が見えてきます。
商品を売る文章ほど、商品から離れていく
これは、僕が長くコピーを書いてきて感じていることです。
商品の魅力を伝えようとすると、最初は商品を詳しく見ます。
でも、深く考えれば考えるほど、視線は商品から離れていく。
見るのは、その商品を使っている「人」です。
- 朝起きたとき何を考えるのか
- 仕事中、何に困っているのか
- 夜、どんな気持ちでPCを閉じるのか
- 何を怖がっているのか
- 本当は、どうなりたいのか
そこまで行くと、文章は商品説明ではなく「あなたのこと、わかっていますよ」というメッセージになる。
売れないとき、メリットを増やす前にやってほしいこと
もし今、商品やサービスの魅力をたくさん書いているのに、なかなか反応がないなら、新しいメリットを11個目として追加する前に(笑)、今あるものから「お客様にとって、一番重要なメリットはどれだろう?」と考えてみてください。
一つ決めたら、そこへ3回「それによって?」と聞いてみる。
1回目は、機能の話かもしれない。
2回目は、生活の話になる。
3回目には、感情の話まで届くかもしれません。
僕が原稿を添削するとき、メリットを削るのは、商品の価値を小さく見せたいからではありません。
逆です。
一番大きな価値を、その他大勢の中に埋もれさせたくないからです。
10個のメリットを覚えてもらうより、たった一つ「これ、まさに自分が欲しかったものだ」と思ってもらう。
そのほうが、人は動くことがあります。
あなたの商品にある10個のメリット。
その中で、お客様が本当に買っている「たった一つの未来」は何でしょうか?


