どん底は「終点」ではなく、自分の人生をもう一度つくり直す出発点でした
33歳のとき、僕は経営していた会社を倒産させました。
そこから離婚。4人の子どもたちとも離れ離れになり、最後には住む場所まで失いました。
いわゆる「ホームレス」です。
文字にすると、たった数行。
でも当時の僕にとっては、それまで積み上げてきた人生が、一枚ずつ剥がされていくような感覚でした。
「社長」ではなくなった日
それまでは会社を経営していました。
- 仕事があり
- 社員がいて
- 家族がいて
- 帰る家がある
それが僕にとっての「普通」でした。
ところが会社がなくなると「社長」という肩書きが消えた。
離婚すると「夫」という立場も消えた。
子どもたちと離れ「父親としての日常」まで消えていった。
そして最後には、帰る家までなくなった。
人生というジェンガを下から順番に抜かれて、最後に「で、お前には何が残ってるの?」と聞かれているような気分でした。
一番つらかったのは、お金がないことではなかった
もちろん、お金がないのは苦しいです。
住む場所がないのも苦しい。
明日の生活がどうなるのか分からない不安もありました。
でも、今振り返ってみると、僕にとって一番つらかったのは、それではありません。
「自分には価値がない」と思い始めたことでした。
- 会社を潰した。
- 家族を守れなかった。
- 子どもたちとも離れてしまった。
- 成功哲学を散々学んできたのに、自分の人生すら成功させられなかった。
それまで持っていた自信が、音を立てて崩れていきました。
成功哲学の言葉が、痛かった
僕はそれまで、成功哲学や自己啓発をたくさん学んできました。
「思考は現実化する」
「強く願えば道は開ける」
「人生は自分次第」
どれも素晴らしい言葉です。
今でも、そう思っています。
でも、どん底にいるときは、その正しい言葉が、ときにナイフのように刺さることがあります。
「人生は自分次第」
そう言われるたび、だったら「この人生になったのも、全部自分のせいなのか」と思ってしまう。
前向きな言葉を聞くほど、前向きになれない自分が嫌になる。
成功者の話を聞くほど、何も持っていない自分との差を思い知らされる。
成功するために学んできた言葉が、皮肉にも、自分を責める材料になっていました。
「もっと頑張れ」が、一番いらなかった
そんな状態の人間に「もっと頑張ろう」と言っても、なかなか動けません。
今なら分かります。
あの頃の僕に足りなかったのは、気合でも、根性でも、新しい成功ノウハウでもなかった。
そもそも、頑張れる「状態」ではなかったんです。
- 身体も疲れている
- 頭の中も混乱している
- 気力もない
- 心は傷ついている
- これから何のために生きるのかも見えない
そんな人間に「目標を書こう!」「夢を持とう!」と言っても、正直「いや、その前に今日をどうにかせなアカンねん」という話です。
人生は、劇的には戻らなかった
そこから僕は、約2年かけて経営者として再起することになります。
こう書くと、ある朝突然「よし!今日から人生を変えるぞ!」と立ち上がったように聞こえるかもしれません。
残念ながら、そんな映画みたいな展開ではありません(笑)
人生は、少し整えて、少し動いて、また落ち込んで、また立ち上がる。
その繰り返しでした。
でも、その小さな繰り返しの中で、僕は少しずつ気づいていきました。
人生を立て直すには、人生そのものを何とかしようとする前に、人生を生きる「自分」を立て直さなければならないということに。
あの頃の自分に、今ならこう言います
「もっと頑張れ」ではありません。
「ポジティブになれ」でもありません。
「夢を諦めるな」でもない。
たぶん、こう言います。
「今は、人生を変えなくていい。まず、お前自身を整えよう」
- 身体を整える
- 脳を整える
- 気を整える
- 心を整える
そして少し元気になってから、もう一度「これから、どう生きたい?」と自分に聞けばいい。
どん底は「終点」ではありませんでした
不思議なものです。
当時の僕は「人生が終わった」と思っていました。
でも今振り返れば、あの場所は終点ではありませんでした。
むしろ、それまでの生き方を一度全部失って、自分の人生を作り直す出発点だった。
だから僕は今、人生がうまくいっていない人を見ても、簡単に「努力が足りない」とは思いません。
止まっているように見える人も、もしかしたら今、次に進むために自分を立て直している途中なのかもしれない。
僕自身が、そうだったからです。
もし今「自分の人生、どこで間違えたんだろう」と思っている人がいたら、一つだけ伝えたい。
人生には、何度でも再設計できる場所があります。
33歳で、会社も、家族との暮らしも、住む場所も失った僕にもありました。
だから、今日すべてを変えなくてもいい。
まずは一つだけ。
今の自分に「もっと頑張れ」ではなく「何を整えてあげよう?」と聞いてみてください。
僕の人生の再起は、そこから始まりました。


