ドラッカーが教えてくれた「売らない技術」
商品を売りたいなら、売ろうとしてはいけない。
「いやいや、何を言うてますのん!」と思いますよね(笑)
でも、経営学の巨人ピーター・ドラッカーは、こんな言葉を残しています。
「マーケティングの目的は、販売を不要にすることだ」(ピーター・ドラッカー)
これは、著書『マネジメント』で示された考え方です。
一見すると矛盾しているようですが、僕はこの言葉に、マーケティングの本質が凝縮されていると思っています。
そして、この考え方…
実は、SNSで情報発信する人にこそ知ってほしいんです。
なぜ、売ろうとするほど売れなくなるのか?
ちょっと想像してみてください。
洋服を見ようとお店に入った瞬間、店員さんが近づいてきて…
- 「こちら、今月のおすすめです!」
- 「こちらも人気ですよ!」
- 「今ならお得ですよ!」
と、次々に商品を勧めてくる。
まだ何も見ていないのに……。
「いや、ちょっと自由に見させてくれへん?」となりませんか?(笑)
もちろん、丁寧な接客が嬉しい場面もあります。
でも、人は自分の気持ちを無視して売り込まれると、身構えてしまうもの。
これはSNSでも同じです。
フォローした途端、毎日商品の宣伝ばかり。
- 「買ってください!」
- 「申し込んでください!」
- 「今だけ特別価格!」
これでは、読者が離れてしまっても不思議ではありません。
問題は、商品を紹介することではなく…
相手が欲しいと思う前に、こちらが売ろうとしてしまうこと。
ここに、売り手が陥りやすい落とし穴があります。
マーケティングは「説得」ではなく「理解」から始まる
ドラッカーが伝えたかったのは、販売活動を一切しなくていい、という話ではありません。
顧客を深く理解し、その人に合った価値を提供できれば、無理に売り込む必要は小さくなるという考え方です。
僕は現在、23社のマーケティング支援に携わっています。
その仕事を通じて、何度も考えさせられることがあります。
それは、売り手が伝えたいことと、お客さんが知りたいことは、必ずしも一致しないということです。
例えば、講座を販売する場合…
売り手は、こんな説明をしたくなります。
「脳科学・広告心理学・行動経済学を取り入れた、充実のカリキュラム!」
もちろん、内容を伝えることも大切です。
でも、文章を書くことに苦手意識がある人が知りたいのは、別のことかもしれません。
- 「自分の商品やサービスの魅力を、うまく言葉にできるようになるの?」
- 「文章を書くたびに、何時間も悩まなくて済むようになるの?」
- 「読んだ人に、ちゃんと価値が伝わるようになるの?」
つまり、お客さんが求めているのは、教材の豪華さそのものではなく、その先にある自分の変化なんですよね。
商品を説明する前に、相手の悩みを理解する。
これだけでも、伝える言葉は大きく変わります。
SNSでは「売る前の時間」が重要になる
では、この考え方をSNSに置き換えると、どうなるでしょうか。
僕は、SNSには商品を紹介する前にできることが、たくさんあると思っています。
例えば…
- 文章を書くのが苦手な人に、少し気持ちが楽になる考え方を届ける
- SNSが伸びずに悩んでいる人に、自分の失敗談を紹介する
- AIの使い方がわからない人に、実際に試した結果を共有する
こうした発信を続けていると、読者の中に少しずつ変化が生まれるかもしれません。
- 「この人の話、参考になるな」
- 「自分と同じような失敗をしているんだ」
- 「この人が作った教材なら、ちょっと気になる」
もちろん、役立つ投稿をすれば必ず売れる、という単純な話ではありません。
商品そのものの価値や、価格、タイミングも重要です。
でも、少なくとも信頼関係がない状態で、いきなり売り込むよりは、自然な接点を作れるはずです。
売ることを急ぐより、必要とされる理由を育てる。
僕は、これがSNS時代のマーケティングに欠かせない視点だと思っています。
「売らない」と「売るのが怖い」は違う
ここで、ひとつ注意したいことがあります。
それは、ドラッカーの言葉を「商品を紹介してはいけない」と解釈しないこと。
実は、真面目な発信者ほど、この落とし穴に入りやすいです。
- 「売り込みだと思われたくない」
- 「フォロワーに嫌われたくない」
そんな気持ちから、せっかく価値ある商品を作っても、案内することをためらってしまう。
でも、必要としている人に商品を紹介することは、悪いことではありません。
むしろ、紹介しなければ、その存在に気づいてもらえないことだってあります。
大切なのは、売るか売らないかではなく、誰に、何を、どんなタイミングで伝えるか。
相手の状況を理解したうえで、必要な選択肢を提示する。
それなら、販売も立派な価値提供になると思うんです。
今日の情報発信実験
次に自分の商品やサービスを紹介するとき、ひとつ試してみませんか。
文章を書き始める前に、こんな質問をしてみるんです。
「自分は何を売りたいのか?」ではなく、「読者は何に困っているのか?」
そして、もうひとつ。
「この商品は、読者のどんな未来につながるのか?」
この2つを考えてから書くだけでも、商品の説明文が、読者にとって意味のあるメッセージに変わるかもしれません。
僕自身も、まだまだ実験の途中です。
noteでは成果を出せても、Xでは思うようにいかないことがある。
だからこそ、媒体が変わっても通用するマーケティングの原則を、改めて確かめていきたいと思っています。
ドラッカーの言葉を、僕なりに言い換えるなら、こうです。
売れる文章を追いかける前に、必要とされる発信を。
何十年も前の言葉なのに、SNS時代の今も、なかなか鋭いです。
いやはや、ドラッカー先生。
恐れ入りました(笑)


