前向きになれない自分を責めていた僕が、どん底で気づいたこと
ポジティブに考えれば人生は変わるという考え方を、僕は一度やめました。
30年以上、成功哲学や自己啓発を学んできた僕は…
「思考は現実化する」
「物事の明るい面を見よう」
「できると信じれば道は開ける」
そんな言葉を、何度も自分に言い聞かせてきました。
もちろん今でも、ポジティブに考えることは大切だと思っています。
でも、一度どん底まで落ちたことで気づきました。
ポジティブ思考は、使う「順番」を間違えると、自分を苦しめることがあるのです。
「前向きになれない自分」が嫌だった
33歳で会社が倒産。
離婚し、4人の子どもたちと離れ、最後には住む場所まで失いました。
そんな状況でも僕の頭には、それまで学んできた成功哲学の言葉が残っています。
「ピンチはチャンスだ」
「すべての逆境には、それ以上の利益の種がある」
「人生は自分の思考次第だ」
どれも素晴らしい言葉です。
ただ、当時の僕には重かった。
- 会社を失った
- 家族との暮らしを失った
- 住む場所まで失った
- 悲しい
- 悔しい
- 怖い
それなのに…
「こんなことで落ち込んでいたらダメだ」
「もっと前向きに考えなければ」
と、自分を奮い立たせようとする。
すると今度は「ポジティブになれない自分」まで嫌いになる。
苦しみが二重になるんです。
ネガティブな感情には「理由」がある
ここで僕は、一つ大きな勘違いをしていました。
- 悲しみ
- 怒り
- 不安
- 恐怖
- 焦り
こうした感情を、人生を邪魔する「悪いもの」だと思っていたんです。
でも人間の感情には、それぞれ役割があります。
- 不安があるから、危険に備えられる
- 恐怖があるから、無茶を避けられる
- 怒りによって「これは大切にしたい」という境界線に気づくこともある
悲しみは、それだけ大切なものを失った証拠でもあります。
つまり、ネガティブな感情が出てきたとき、最初にすることは、追い出すことではなく「なぜ今、この感情があるんだろう?」と聞くこと。
僕はそう考えるようになりました。
「大丈夫」と言う前に、大丈夫じゃない自分を見る
たとえば、本当は仕事がつらい。
でも「仕事があるだけありがたい!」と無理やり考える。
人間関係で傷ついた。
でも「これも成長のチャンス!」とすぐ意味づけする。
大きな失敗をした。
でも「失敗なんて成功への途中!」と感情にフタをする。
もちろん、最終的にそう捉えられるなら素晴らしい。
問題は、まだ痛いのに、痛くないことにしてしまうこと。
足を骨折した人に「歩けると思えば歩ける!」と言っても、まず病院に行ったほうがいいですよね(笑)
心も同じだと思います。
僕がやめた「即ポジティブ変換」
以前の僕は、嫌な出来事があると、すぐに…
「ここから何を学べる?」
「これにはどんな意味がある?」
と考えていました。
今も、この問い自体は使います。
ただし、すぐには使わないことがあります。
- 悔しいなら、まず「悔しい」と認める。
- 悲しいなら「悲しいよな」と認める。
- 疲れているなら「今日は疲れてるな」と認める。
そのうえで、身体を休めたり、少し時間を置いたり、誰かに話したりする。
そして、心に少し余白が戻ってから「じゃあ、ここからどうしよう?」と考える。
この順番に変えました。
ポジティブ思考より「ポジティブ回復力」
僕が大切だと思うのは、24時間365日、ポジティブでいることではありません。
そんな人がいたら、逆にちょっと心配です(笑)
- 落ち込む日もある
- 不安になる日もある
- もう嫌やと思う日もある
それでも、少し休んで、感情を受け止めて、また自分のペースで戻ってくる。
僕が目指したいのは「ポジティブ思考」より「ポジティブ回復力」
ネガティブにならないことではなく、ネガティブになっても、そこから戻ってこられることです。
「心」だけを変えようとしても難しい
ここでも、僕が大切にしている「身・脳・気・心・志」という考え方につながります。
心がネガティブになったとき、原因が「心」にあるとは限りません。
- 単純に寝不足かもしれない
- 脳が疲れているのかもしれない
- エネルギーが枯れているのかもしれない
- 人生の方向を見失っているのかもしれない
それなのに「もっと前向きに!」と心だけを叱る。
これは、バッテリー残量1%のスマホに「もっと明るく光れ!」と言っているようなものです(笑)
成功哲学を否定したいわけではない
ここは誤解してほしくありません。
僕は成功哲学が大好きです。
30年以上学び続け、今でも人生の大切な土台になっています。
ただ、人生のどん底を経験して、分かったことがあります。
正しい言葉も、受け取れる「状態」でなければ届かない。
「夢を持とう」
「前向きに考えよう」
「諦めるな」
全部正しい。
でも、疲れ切っている人には、まず「休息」が必要かもしれない。
傷ついている人には、まず「安心」が必要かもしれない。
自分を責め続けている人には、まず「そこまで頑張ってきたんだな」と認める時間が必要かもしれない。
だから僕は「何を考えるか」だけでなく「どんな状態で、その言葉を受け取るのか」を大切にするようになりました。
ネガティブな日は、人生の失敗ではない
もし今日、前向きになれなくても、それだけで、あなたの人生が間違っているわけではありません。
- やる気が出ない
- 不安になる
- 落ち込む
そんな日があっていい。
大切なのは、その感情を見て「またダメな自分が出てきた」と責めることではなく「今の自分は、何を必要としているんだろう?」と聞いてあげることです。
- 休息かもしれない
- 誰かとの会話かもしれない
- 一人になる時間かもしれない
- 身体を動かすことかもしれない
- ただ眠ることかもしれない
僕は長い間、ネガティブな自分を、ポジティブな自分に変えようとしてきました。
今は違います。
ネガティブな自分が出てきたら、まず、その自分も置いていかない。
そして整ってきたら、また前を向けばいい。
だから、もし今つらいことがあるなら、無理に「大丈夫!」と言わなくてもいいと思います。
まずは「本当は、何がつらい?」と自分に聞いてみてください。
人生を前向きに変える第一歩は、無理にポジティブになることではなく、今の自分に嘘をつかないことから始まるのかもしれません。


