人生の再起は、大きな目標ではなく「もう一度、自分を信じられる小さな一日」から始まった
ホームレスになった僕が最初にやったのは「夢を書くこと」ではありませんでした。
成功哲学を30年以上学んできた僕です。
- 夢を紙に書く
- 目標を明確にする
- 成功した自分をイメージする
- 潜在意識に願望を刻み込む
その大切さは、嫌というほど知っていました。
でも33歳。会社を失い、離婚し、4人の子どもたちと離れ、住む場所まで失った僕には、そんなことより先に、やらなければならないことがありました。
「10年後の夢」なんて考えられなかった
人生のどん底にいる人間に「10年後、どうなっていたいですか?」と聞いても、正直、困ります。
10年後どころか「来週どうなってるんやろ……」という状態だからです。
僕もそうでした。
成功している人の話を読めば「大きな夢を持とう」と書いてある。
目標設定の本を読めば「明確なゴールを決めよう」と書いてある。
頭では分かります。
でも、心も身体もついてこない。
そんな自分を見ると、また思うんです。
「俺はダメだな」と。
「成功する」より先に必要だったこと
今振り返ると、あの頃の僕は、人生を成功させる以前に、人生を立て直せる状態に戻る必要がありました。
- 身体は疲れている
- 頭の中は不安でいっぱい
- 気力も落ちている
心には、会社を潰したこと、家族を守れなかったこと、子どもたちと離れてしまったことへの痛みがある。
そんな状態で「さあ、壮大な夢を描こう!」と言われても、脳内会議では満場一致で「それどころではありません」です(笑)
僕が最初に取り戻したかったもの
だから、再起の始まりは、世間で言う「成功」ではありませんでした。
- 生活を整える
- 身体を休ませる
- 少しでも動く
- できる仕事をする
- 今日やるべきことを一つ終わらせる
そして…
また明日を迎える。
ものすごく地味です。
こんなこと、SNSに投稿しても、おそらく3いいねくらいです(笑)
でも、今の僕は思います。
人生を立て直したのは、こういう「誰にも見えない小さな行動」だったんです。
一度壊れた自己信頼は、小さくしか戻らない
どん底に落ちて失ったものは、お金や家だけではありませんでした。
僕が一番失っていたのは「自分なら大丈夫」という感覚。
つまり、自分への信頼です。
だから、いきなり大きな目標を達成して、自信を取り戻そうとしても難しい。
今日やると決めたことを、一つやる。
明日も一つやる。
できなかった日は、また次の日からやる。
その小さな積み重ねで「俺、まだやれるかもしれない」という感覚が、少しずつ戻ってきました。
人生は「V字回復」しなかった
ホームレス状態から約2年で、僕は再び経営者として仕事ができるところまで戻りました。
「2年で再起」だけを見ると、きれいなV字回復に見えるかもしれません。
でも実際は、Vというより、心電図です(笑)
上がったと思えば落ちる。
「いける」と思った翌日に、また不安になる。
一歩進んで、半歩戻る。
ときには、二歩くらい戻る。
それでも、完全に止まらなかった。
だから、少しずつ前へ進めました。
後から分かった「整える」という意味
当時の僕は「身・脳・気・心・志」なんて体系立てて考えていたわけではありません。
五つ星成功術という名前も、もちろんありません。
ただ、自分自身の人生を実験台にして…
- 何をすると少し元気になるのか
- 何をすると動けなくなるのか
- どうすればまた一歩進めるのか
何度も失敗しながら、一つずつ確かめていきました。
そして後になって、30年以上学んできた成功哲学、心理学、脳科学などの知識と、自分自身の再起体験を重ねてみたとき、バラバラだったものが、少しずつ一本につながっていきました。
人生を変える前に、人生を動かす自分を整える。
僕に必要だったのは、これだったんだと思います。
夢を持てない日があってもいい
だから僕は、夢が見つからない人に「夢を持ちなさい」とは簡単に言えません。
目標が決まらない人に「目標設定が甘い」とも言いたくありません。
もしかしたら、今は夢を描く時期ではなく、夢を描ける自分に戻っている途中なのかもしれないからです。
疲れているなら、まず休む。
頭の中がいっぱいなら、少し情報から離れる。
心が傷ついているなら、無理にポジティブにしない。
そして、今日できる小さなことを一つだけやる。
それでいいんです。
人生の再起は、もっと静かに始まる
人生が変わる瞬間というと、大きな決断や、運命的な出会いや「今日から俺は変わる!」みたいな劇的な場面を想像します。
でも僕の場合は違いました。
再起の始まりに、ファンファーレなんて鳴りませんでした。
誰も拍手してくれませんでした。
ただ、昨日より少しだけ、自分を整えた。
その積み重ねでした。
そして、その小さな積み重ねが、結果として僕をもう一度、人生のスタートラインまで連れてきてくれました。
もし今…
「夢がない」
「目標が分からない」
「頑張ろうと思っても動けない」
そんな自分を責めている人がいたら、今日は無理に人生を変えなくていいと思います。
代わりに、一つだけ聞いてみてください。
「明日の自分が少し楽になるために、今日できることは何だろう?」
- 早く寝るでもいい
- 10分歩くでもいい
- 机の上を片づけるでもいい
- 誰かに「ありがとう」と伝えるでもいい
人生の再起は、大きな夢を書いた瞬間から始まるとは限りません。
僕の場合は、もう一度、自分を信じられる小さな一日をつくることから始まりました。


