過去を学ぶ者だけが未来を創れる|孔子が教える「知性の深め方」とは?
「もっと新しいことを学びたい」
「今の時代に通用する知識を手に入れたい」
そんな風に、常に「新しさ」を求めてしまう私たち現代人。
しかしその姿勢に、中国の大哲学者・孔子はこんな言葉を投げかけています。
故きを温(たず)ねて新しきを知る
『論語』より
この言葉は、ただ「昔を大切にしよう」という懐古趣味ではありません。
むしろこれは、最先端の未来を創造する人にこそ必要な「学びの姿勢」を説いているのです。
故きを温ねて新しきを知るとはどういう意味か?
この言葉を現代語訳すれば…
過去のことを深く理解し、その上で新しい気づきを得る
という意味になります。
「故き」とは、過去の出来事や経験、古典、伝統、歴史、先人の知恵のこと。
「温ねる」とは、ただ振り返るだけでなく、何度も反芻して深く味わうこと。
そして「新しきを知る」とは、そこから「今この時代に活かせる新しい学びを見出すこと」です。
つまり孔子はこう言っているのです。
新しさを追いかけるのではなく、過去を深く掘れ。
そこにこそ、未来のヒントが埋まっている。
なぜ孔子は「古いもの」にこだわったのか?
私たちはつい「古いもの=時代遅れ」と考えがちです。
しかし孔子にとって「古」とは、不変の本質が眠る宝の山でした。
- 時代は変わっても「人の心」は大きくは変わらない
- 過去の知恵には、普遍的な原理原則が詰まっている
- だからこそ、そこにこそ「今を生きる答え」がある
実際、現代のビジネスリーダーたちも「古典」を愛しています。
スティーブ・ジョブズも、ビル・ゲイツも、孫正義も、歴史と哲学から多くを学んでいるのです。
僕たちは「新しさ」ばかりを追いすぎている
SNS、ニュース、AI、テクノロジー…
あらゆる「新しさ」が日々更新される今、僕たちは情報に追い立てられがちです。
- 新しいツールを知っていないと不安になる
- トレンドについていけない自分に劣等感を持つ
- 知識は浅く広く、思考はどんどん軽くなっていく
そんな中、孔子のこの言葉は、静かにこう語りかけてきます。
深く学べ。深く考えよ。
そうすれば、おのずと「新しいもの」が見えてくる
現代に活かす「故きを温ねる」3つの方法
①古典を一冊、自分の人生に引き寄せて読む
たとえば『論語』『孟子』『孫子』『菜根譚』など。
そのまま読んでも難解ですが、自分の人生経験と照らし合わせると「あっ」と腑に落ちる瞬間があります。
②過去の自分を振り返り、そこからヒントを探す
あなたの人生で、うまくいった時期、失敗した時期は?
そこには、今に通じる「パターン」が眠っています。
ノートに「人生で一番変われた瞬間」を書き出すだけでも効果的です。
③偉人の生き様から「思考の型」を盗む
ナポレオン、坂本龍馬、マザー・テレサ、エジソン、松下幸之助…
彼らの共通点は「自分なりの信念を貫いた」こと。
その「考え方のベース」に触れることで、自分の「軸」も太くなっていきます。
今日からできる「故きを温める」3ステップ
- 本棚の中から「昔読んで感動した本」をもう一度開いてみよう
- 自分の過去の成功体験・失敗体験を3つ思い出してノートに書いてみよう
- 好きな偉人の言葉を1日1つ書き写して、自分の価値観と照らしてみよう
本物の新しさは、過去の中から生まれる
「新しさ」とは、表面的な流行のことではありません。
過去を深く理解し、自分の血肉にして、それをもとに新しい視点を生み出すこと。
それが、孔子が言う「新しきを知る」ということです。
今日、スマホを閉じて、本を1冊、ノートを1冊、心静かに開いてみてください。
あなたの中に、未来を照らす「新しさ」がきっと見えてくるはずです。
宮本真愿
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